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IS インフィニット・ストラトス〜転生者の想いは復讐とともに…………〜
number-18 unhappiness
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夏真っ盛りであるこの時期。
麗矢はこの時期が一番嫌いだった。
夏なら夏、冬なら冬でいいのではないか、四季なんかなくなってしまえばいいんだとまで思ってしまう。


――――あー……依頼受けるんじゃなかった……。


織斑千冬からの依頼を受けたことが麗矢の不幸の始まりだったと今になって思う。


あの頃に戻りたい。
依頼を受けて、世界中を飛び回りながら空き時間で観光して、依頼をこなしていたあの頃が懐かしい。


海に行きたくない。
あともう少ししたら臨海学校がやってくる。
何が楽しくて海に行かなければならないのか、麗矢には分からない。
確かに息抜きに行くのはいいのかもしれないが、また何か問題が起きそうな気がしてならない。
それこそ国家を超えた大きなことが。
麗矢の第六感、所謂勘がそう告げている。


      ◯


今の麗矢の立場は非常に脆い。
何か大きなことがあれば、すぐに崩壊してしまうぐらいに。


今の麗矢は、千冬から依頼を受けて織斑一夏の護衛をしている。
しかし、ある組織からも依頼を受けている。
それが『織斑一夏の暗殺、または誘拐』である。
どちらかの依頼をこなす為にはどちらかの依頼を断念しなければならない。
矛盾している二つの依頼。


思うにこの複雑な立ち位置が麗矢を不幸にしているともいえる。
さっさとこなすほうを決めなければならないのだが、麗矢はまだ決めていない。
対象である《織斑一夏》の人物像を観察してから決めようとしていたのだ。いたのだが……。


あんなに無責任な奴を見たことがなかった。
いつか、書いたような気もするが、有名無実。
名ばかりで中身が伴っていない。
事実である。


ブリュンヒルデの弟というレッテルを張られ、期待されていた男。
だが、セシリアの時は自分の感情を抑えられず、カッとなり口論になった。
ヴァルキリートレースシステムの時は、力の本質を理解しておらず、しかも世の中の黒いところも全く理解していない。
軍事目的で誰かの力があういう風に転用されるのは当たり前のことなのだ。それを――――


――――あれは千冬姉だけの物なんだっ!!


吐き気がする。
どうしてああも我が儘なのか、いや我が儘のほうがまだいい。
麗矢が最も嫌いなタイプ、自分至上主義に近い性格をしている。
あのタイプは直りようがないのだ。


麗矢の気持ちは傾いていた。
暗殺・誘拐のほうへと。
千冬には悪いが不幸だったとだけで済ませてしまいたい。
肉親を殺されて冷静にはいられないだろうが……文句なら弟に言ってほしいものだ。
弟の性格があんなだったからこんな結果を招いたんだと。


肉親を殺されてで思い出した。
シャル
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