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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
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第五話「アルカード」
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く不安な気持ちに駆られていると。目の前に不思議なものが出現した。
二つの小さなリボンだ。それらがひとりでに動くと、まるでチャックを開けるかのように空間が裂けた。
裂けた空間の向こう側はこことは違う場所に繋がっているのか、紫色の空間が広がっており、よくわからない複数の目がこちらを眺めている。
――怖……っ! なにこれ!?
未知の恐怖を感じた俺の背筋が震える。遠ざかろうと距離を取ろうとするが、どうやって移動すればいいのか分からない。というより、床がないから移動できない。
自分でもよく分からない焦燥感に駆られていると、目の前の裂けた空間から一人の女性が姿を現した。
白を基調にした長袖とズボンに、紫色の対極図が描かれた前掛けらしきものを着た女性は、背中まで届く金色の長髪に帽子らしきものを被っている。
手にした扇子で口元を隠しながら俺に微笑んだ。
「久しぶりね」
「誰だ、君は?」
訝しげに尋ねると、女性は眉根を寄せた。
「あら、確かに顔を合わせるのは五百年以来だけど、友人の顔を忘れるのは酷いんじゃない?」
「は?」
――五百年以来? なにを言っているんだこの人は? それに初めて会った俺に対して友人だと?
困惑する俺を見た女性も同じく戸惑った顔を見せるが、ふと表情を変えた。
「貴方――なるほど、そういうことね。道理で私のことを覚えていないはずだわ」
「――?」
「まさか記憶喪失だなんてね……。でも、それなら貴方が今死んでいることも、こうして干渉できることも納得がいくわ」
得心がいったように頷く女性はパチンッと扇子を閉じた。なぜ、俺が記憶喪失だと知っているんだ、この人は?
「君は何者なんだ?」
「私が何者で、誰かというのは貴方自身が既に知っているわ、思い出せないだけでね。約束通り、貴方を幻想の世界に招待しようと思ったけど、まずは記憶が戻らないとどうしようもないわね」
――約束? 幻想の世界?
訝しむ俺を余所に女性は扇子を一閃させる。
「――? ガァアアアアアァァァァァァ――――――!?」
突如、莫大な量の情報が俺の脳に押し寄せてきた。あまりに膨大な情報量のため、とてつもない頭痛が俺を襲う!
「いま貴方が感じているそれが、今まで貴方が培ってきた記憶の量よ。辛いでしょうけど耐えなさい」
――なにを、無茶な……っ! 尋常ではない量の情報だぞ……!
「――! 徐々に能力も戻ってきているわね……。これ以上貴方の精神世界に干渉することは難しいようだから、今回はお暇させてもらうわね。次に逢う
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