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蒼き夢の果てに
第4章 聖痕
第47話 東薔薇騎士団副長
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 刹那、周囲。いや、この屋敷の中、そして外からも、戦いの気が発生する。

「このブランシュー家の新当主の襲名披露のパーティに集められた貴族どもは、我らの目的の為の贄。其処の小娘も、この国を混乱させる為に用意された小道具」

 刹那、抜き打ちの銀が魔法に因り灯された明かりを反射して、一筋の光線が奔った。
 普通の相手ならば完全に虚を突き、その斬撃を絶対に目で追う事は出来ないレベルの抜刀術。

 しかし!

 次の刹那、旋回を続けながら飛び続け、壁に突き刺さるシャルルのサーベル。
 半ばから斬り飛ばされた自らの軍杖の柄の部分に、瞬間、信じられないと言う雰囲気の視線を送ったシャルル。

 但し、これに関しては当然の帰結。相手の軍杖が、土の系統魔法の固定化で強化されているのなら、俺の木行で土行を剋して仕舞えば、後に残るのは単に脆弱な鋳造性のサーベルに過ぎない剣。
 片や、俺の右手に握られし七星の宝刀は、神珍鉄に因って作り上げられ、仙人に因って鍛えられし宝貝を、龍神専用の宝貝の如意宝珠に因って完全に再現した物。剣自体を斬り飛ばしたとしても、何ら不思議では有りません。

 その刹那、俺の背後に居たはずのタバサが淡い燐光に包まれ、いきなりシャルルの目前に現れ……。
 次の瞬間、崩れ落ちるシャルル。

 淡い燐光。精霊を従えた者のみが纏う事を許された精霊の護り。
 確かに今までのタバサも、式神の従えた精霊を間接的に支配する事に因って全身から淡い燐光を発しながら、俺に限りなく近い世界を生きて来たのですが、今の一瞬は……。

 俺は、未だキルリアン現象と呼ばれる状態に近い形で全身から活性化した精霊の放つ光を放ち続ける蒼き姫を見つめる。

 そして、彼女が今の瞬間、俺と完全に同じ世界に存在していた事を認識していた。
 これは……。

 いや、今はそれドコロではない。疑問については後回し。

「イザベラを連れて、さっさと、この屋敷を脱出するぞ」

 少し頭を振って、余計な方向に進もうとする思考を追い払った後、そうタバサに告げる俺。現在は、未だ虎口を脱した訳では無い。
 その俺の言葉に、普段通りに透明な表情を浮かべたまま、無言で首肯くタバサ。

 そう。悪夢の夜はこの時、未だ始まったばかりで有った。


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