ララバイ編
EP.11 黒き閃光
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われる保証があるのか? それに……。
「変わらんよ」
「!!」
まるで自分の心の葛藤を見透かされているようなマカロフの言葉は、カゲヤマの心をさらに大きく揺らした。
「人間全てが強くなれる訳じゃない。弱い奴は弱いままじゃ。だが……弱さは罪にはならない。元々人間なんて、それ単体では生きていけないほど弱い生き物なんじゃからな」
ドクン、ドクン、とカゲヤマの心臓が煩い程に大きく鼓動を刻む。
この鼓動はまぎれもなく自分が生きている証。それは自分一人の力か? ……否だ。
「一人では不安じゃ。それはワシも例外ではない。だから、ワシらは仲間を集め、ギルドを作る。互いに強くなるために、心の弱さ、“恐怖”に負けないために……」
この言葉を聞いているのはカゲヤマだけではない。ワタルたちも、静かにマカロフの言葉に聞き入っていた。
88年間生きてきて、48年間マスターとしてギルドを支え続けてきたマカロフの言葉は、不思議な説得力を持っていた。
「不器用な者は多くの壁にぶつかるじゃろうし、遠回りもするじゃろう。じゃが……それが“悪”だと、いけない事だと誰が決めた? 例え、どんな人間にも――悪人でさえも――明日は訪れる。その明日を信じて、一歩でいいから踏み出してみろ。笑って“今”を生きていくだけの力がきっと湧いてくる……そんな笛に頼らなくても、な」
――……流石、だな……すべてお見通しだったって訳か……。……スイマセン、エリゴールさん、俺は……。
カゲヤマは、逮捕されたマスターに代わって自分たちを先導し、扇動した男に対し、胸中で謝罪をした後……
「……参りました……」
――前に、歩き出したくなってみました……。
魔笛を落として、にやりと笑ったマカロフに対して土下座をした。
鉄の森の野望が潰えた瞬間だった。
「じっちゃん!」
「じーさん!」
「おぉ、来たか、馬鹿共め……」
その瞬間、ナツとグレイはマカロフの元に走り寄り、エルザはワタルの肩を借りてルーシィと共に歩いた。
「スゲェな、じっちゃん!」
「あい! 流石マスターです!」
「……そう思うなら叩かんでくれぃ……」
「まぁ、一件落着、だな」
さっきの威厳はどこに行ったのか、ナツにペシペシと頭を叩かれているマカロフと安堵の溜息を吐くグレイと、
「ほら、大丈夫か、エルザ……?」
「ああ……いや、もう少し肩を貸してくれ……」
「あ、ああ……」
「エルザにこーんな一面があったとはねぇ……」
「ル、ルーシィ……貴様、覚えてろよ……」
「ヒィッ! あ、アンタも早く病院行くわよっ!」
「よく分からないけど、アンタも可愛いわぁ〜」
ワタルに肩を貸してもら
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