第三章
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「地も空も海も何処までも拡がっています」
「広く深いですね」
「高いです、そして色もまた」
「濃いですね」
「実に多彩です。ですが」
それと共にだというのだ。
「世界は狭くもあります」
「浅く低く淡いですね」
「それは何故かといいますと」
ヴォルテールは美女を見ながら話していく。
「世界はこの世界全体だけでなく個々もだからです」
「私達それぞれもまた」
「はい、世界は一つだけではありません」
こう言うのだった。
「この宇宙だけでなくです」
「私達もまた一つの世界」
「宇宙は広大です、しかし私達は矮小です」
全く正反対だ、だがそれでもだった。
「しかし世界は世界です」
「それ故にですね」
「答えは世界となります」
美女の仮面の奥の目を見て言う、目の色も仮面に隠れてわからない。
だがその目を見てそして言ったのである。
「如何でしょうか」
「はい」
美女は確かな声で答えた。
「その通りです」
「正解ですね」
「はい、まさにそうです」
第二の門が潜られた、確かに。
「それは世界です」
「そうですね」
「二つ目の謎も解かれました」
美女から告げられた。
「ここまで来られるとは。しかし」
「最後の謎ですね」
「謎はまだあります」
峻厳な、死を告げる天使の様な言葉だった。
「最後の謎です」
「はい」
それが告げられていく、その最後の門が。
「誰かを常に、閉じられた何もない部屋から見て」
美女はまた口を開いた。
「信じようとしていれど怯え震えそうすることに恐れ己を閉ざしている者」
またしても全てを絡めた言葉だった。
「外に踏み出そうとしながらも出来ない者、それは誰か」
「常に閉じられた空虚な部屋から見ている」
ヴォルテールはまた美女の謎を反芻した。
「望みに対して怯えている者、それは」
「誰でしょうか」
美女はここでもヴォルテールを見据えている。
仮面だが口の部分は出ている、そしてその唇は強張っている。
ヴォルテールはその唇を見ている、しかし。
それ以上に美女の仮面そのものを見てそれから答えた。
「貴女です」
「私ですか」
「全てはその仮面です」
そこにあるというのだ、彼女そのものでもあるそれがだと。
「貴女の仮面、それは謎ではないのです」
「では何だというのですか」
「部屋です」
その全てを閉ざしている空虚な部屋だというのだ。
「貴女はその仮面でご自身の心を閉ざしていたのです」
「そしてその部屋から」
「見ています、仮面を外しそして部屋から出て新しいものを見て手に入れたい、ですが怯えそれが出来ない」
美女の仮面を見て語っていく。
「まさに貴女です」
「私そのものだと」
「そうです、そして」
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