原作開始前
EP.9 プレゼントと定例会
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ワタルがS級に上がったその1年後のX780、エルザもS級に昇格を果たした。
女でありながら、ワタルと同じ15歳でS級になったエルザに対して、皆驚いていたが……ワタルも同じだった。
――まさか、もう上がって来るとはな……追いつかれるのも時間の問題か?
そのつもりは無いが、と胸中で呟きながら、S級昇格祝いをどうするか……、と考えていた。
――でも、女の子に何か送った事が無いから何送っていいか分かんねぇしなぁ……。いや、そもそも俺が送る必要あるのか? でも何も送らないのも、なぁ……。
ワタルがうーん、と唸りながら仕事で立ち寄った大きな街を歩いていると、ある店が目に留まり、立ち止まった。
「……アクセサリー、か……」
ワタルが立ち止ったのは……そんなに大きくも無いアクセサリー店の前。
プレゼントとしては妥当か? と思ったワタルは入店したのだが……
「うわ……結構あるな……」
店の見た目に反して品揃えが豊富だったため、何にしようか迷ってしまった。
「……あの、お客様。何かお探しでしょうか?」
あまりに迷っていたのが目に留まったのか、店員に声を掛けられた。
「え……あ、ああ。ちょっと贈り物を」
「なるほど……彼女さんですか?」
「え!? あ、いや、そんなんじゃ……」
ワタルにとってのエルザに対する想いは、去年を境に少し変わった。
ギルドの中で一番長くいた人間から、少し気になる、失いたくない、と思える女の子へ……。
気持ちの変化からか、どう接していいのか分からず、少し距離を取ってしまった節はあったが。
……慌てたワタルの反応が面白かったのか、店員は少し笑うと、申し出た。
「ふふ、分かりました。適当に見繕いましょう……何かのお祝いですか?」
「あ、ああ、昇格祝い……とでも言えばいいのか。そんな感じだ」
「昇格祝い……ですか?」
「ああ……魔導士なんだ、彼女」
「なるほど……どんな方なんですか?」
店員の質問に、ワタルは少し考えると、答えた。
「そうだな……可憐って言葉より、凛々しいって言葉が似合う女の子、かな」
「そうですね……でしたら……」
そう言うと、店員はワタルを連れて耳飾りのコーナーに連れて行った。
「彼女、魔導士のようですし、こちらなんかどうでしょうか?」
店員が取り出したのは、銀でできた小さな菱形が付いたシンプルなイヤリングだった。
「これは?」
「これはフィオーレが誇るフィオル・ジュエリーのイヤリングです。二つで一組となっており、微量ですが、対象者の魔力を安定させる効果があります。」
ワタルは少し考えたが、アクセサリーの知識なんて欠片も持
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