第一章
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ソドムとゴモラ
宇山奈央はある日聖書を読んだ、何故この本を読んだかというと本当にたまたまだ。
「あんたクリスチャン?」
「禅宗のお寺の娘が?」
こう友人に返す奈央だった。吊り目で小さな口に黒髪をショートにしている、背は高めでスタイルは抜群だ。
胸は張ちきれんばかりに大きく後ろのラインが芸術的だ、しかも脚も長く整っている。制服からもその暴力的なまでに刺激的なスタイルが出ている。
その彼女が笑って友人に言うのだ。
「そんな筈ないじゃない」
「それもそうね」
「ちょっとね。お父さんのお友達に神父さんがいてね」
「宗教滅茶苦茶ね」
「仲よくていいじゃない。それでその人から貰ったのよ」
この聖書をだというのだ。
「それで他に読む本もなかったからね」
「今読んでるのね」
「そう、それにしてもね」
「勉強になる?」
「いや、ソドムとゴモラだけれど」
奈央が言うのはこの二つの背徳の街のことだった。
「ソドムがホモでゴモラがレズで」
「神に滅ぼされるのよね」
「キリスト教じゃホモとかって罪になるのよね」
「同性愛はね」
「それは知ってるけれど」
「それでもなの?」
「いや、実際にソドムとかゴモラってどんな街だったのかしら」
「だからホモとレズの街でしょ」
友人は実に率直に奈央に答えた。
「ボーイズラブとガールズラブだったのよ」
「そう言うと耽美な感じだけれど」
「それが神様に嫌われて滅ぼされたんでしょ、聖書に書いてあるでしょ」
「私には理解できないけれどね」
奈央は首を捻って言った。
「そこがね」
「お坊さんって昔は皆男色家だったからね」
「女の人に手をつけられなかったからね」
表向きはそうだった。
「そうだったのよ」
「尼さんも尼さんでよね」
「そう、そっちだったから」
「だからといって誰も捕まってないわよね」
「一人もね」
日本の長い歴史で同性愛で罪に問われたり人道的に責められた者は一人も存在しない、織田信長もこれで糾弾されてはいない。
「いないわよ」
「まあ宗教が違えばそうなるのよ」
「キリスト教ねえ。けれど私そういう趣味はないし」
奈央はノーマルだ、レズビアンではない。
「だからこういうのはね」
「実感ないっていうのね」
「全然ね。どういった世界かしら」
「じゃあ歌舞伎町にでも行ってみる?」
「高校生で?」
「社会見学よ、こっそりとね」
友人はにやりと笑ってこう奈央に囁いた、何処か悪魔的な笑みだ。
「行けばいいじゃない」
「ううん、美少年がダンディな叔父様に手ほどきを受けて」
「若しくは子猫ちゃんがお姉様にね」
「いいかもね」
話を聞いてその気になる奈央だった。
「じゃあ行って
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