第四章
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の大罪で邸宅を一つ破壊寸前に追いやっているのである。ロシア人の酒好きとその際の大暴れはオランダにも聞こえていたのである。
「しかし御名前程度は」
「まあまあ市長さん」
大使は強引に話をなかったことにしようとしてきた。
「そんなことは仰らずに。陛下ですよね」
「はい」
話を強引になかったことにされた市長は渋々ながら彼に応える。
「どうやらここにおられるようですが」
「ただ、誰なのかがわからないのですよ」
「では私がヒントを与えましょう」
「ヒント!?」
「はい」
大使はそう市長に言ってきた。
「というか手懸かりですね。陛下の御名前はピョートルです」
「それが何か」
「ですから。それをオランダ語読みして下さい」
大使はそう市長に言うのであった。
「どうなりますか?」
「ピョートルをオランダ語にするとですか」
「ええ」
「ピョートルですな。すると」
彼は考えながら呟く。何とか頭から言葉を捻る。
「ペーターですか」
「そう、ペーターです」
「ああ、そういえば」
ここで夫人は何かを思い出して言葉を述べてきた。
「政府から命令書が来ております」
「命令書が!?」
「はい、こちらです」
ここで命令書を市長に手渡す。市長はそれを受け取りながらいぶかしむ顔を彼女に向けて言った。
「これがあるのはいいですが」
「何か?」
「何故もっと早く出して頂けなかったのか」
「申し訳ありません、忘れていました」
かなり無責任な言葉であった。
「色々とありまして」
「はあ。それではまあ」
受け取った命令書を読む。見るとそこにはペーターという男が怪しいから見張れとあった。それは大使も読んでいてよく把握していたのだった。
「やはりペーターですか」
「けれど有り触れた名前ですよ」
市長は眉を顰めさせて大使に応える。
「こんな名前は」
「オランダでもですか」
「そうです。ですから」
「怪しい者を見つけ出すのは容易ではない、そういうことですな」
「残念ですが」
市長はそう大使に答える。しかしここで夫人が言ってきた。
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