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スコール
第四章
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「だからね。もう今日は諦めて」
「帰る?」
「そうしよう。これ以上デートしても多分今度は目の前に北村一輝出て来るから」
「バタ臭いね」
 この場合バタ臭さは暑苦しさと重なり最凶となる。
「それは」
「そう、帰るのが吉よ」
「だね。じゃあ駅前まで行って」
「また今度ね」
 二人は暑苦しいデートをさっさと終わらせて後日仕切りなおしとすることにした。今も日差しは相変わらずで熱気も下からむわっとくる。灼熱のサウナだった。
 その中を歩いていると急にだった。天気が怪しくなり。
 ゴロゴロと鳴り出した。勝大はそれを見てすぐに有紗に言った。
「まさかと思うけれど」
「夕立?」
「参ったな、悪いことがまた」
「とりあえず何処かに入ろう」
 有紗は慌てだした勝大に言った。
「雨宿り出来る場所ね」
「ええと、じゃあ」
「あそこに入りましょう」
 丁度目の前にアイスクリーム屋があった。そこに入ろうというのだ。
「雨宿りには丁度いいわ」
「そうだね。それじゃあね」
「ええ、それじゃ」
 二人は顔を見合わせて頷き合いすぐにアイスクリーム屋に飛び込んだ。するとだった。
 その瞬間に雨が降りだした。しかもそれは豪雨だった。
 雷が鳴り何もかもを洗い流す様な雨が降り注ぐ。二人はその間。
 店の中でアイスを買って食べていた。勝大はバニラを食べながらチョコを食べている有紗に対して尋ねた。
「止むかな」
「まあ。そんなに長く降らないでしょ」
 有紗はこう勝大に答えた。
「夕立だし」
「そうだよね」
「それにこれだけ強いと」
 それならだった。
「そんなに長く降らないでしょ」
「そうだね。じゃあ待とうか」
「アイス美味しいわね」
 有紗はやっとほっとした感じになっていた。
「チョコね」
「そうだね。お店の中もね」
 二人以外にも何人か客がいる。だがだった。
 今度はラグビー部もトラキチ部隊も他国の抗議団体もゴスロリ集団もおばさん軍団もいない。当然フレディーマーキュリーも藤岡弘、もだ。
 至って平穏だ。それで言うのだった。
「穏やかだね」
「濃い人達いないわね」
 今日これまで会って来たそうした人達はいないというのだ。
「何かやっと普通のデートになってきたけれど」
「本当にやっとね」
 ほっともできていた。二人は自然に微笑みになっていた。
 そのうえでそれぞれアイスを食べてこうも言い合った。
「じゃあとりあえず雨が止んだら」
「それからよね」
「うん、出てね」
「それで駅前でね」
 待ち合わせたその場所でだというのだ。
「お別れして」
「また今度で」
 こうした話をしてそのうえでだった。
 彼等は窓の外を見た。豪雨、スコールと言うべきそれは予想通りすぐに、三十分程で終わった。それが終
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