第四章
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晋太郎は毎日放課後になると百貨店に向かい何もない態度を装って彼女のいるエレベーターに乗った、それもわざと一階から屋上まで何往復もした。
屋上にはゲームコーナーがあるので丁度よかった、ただしゲームはしない。
そうしたことを結構な間続けていた、だがある日のこと。
一階からエレベーターに入ると彼女からこう言われたのだった。
「どちらに参りますか?」
「屋上に」
こう言った、だがだった。
彼女は晋太郎に顔を向けて微笑んでこの言葉を言ってきたのである。
「今日私五時で終わりなのよ」
「えっ!?」
「百貨店の中だとお店の人に見られるから」
驚く晋太郎にさらに言ってくる。
「スタープラチナでいいわね」
「あのカラオケボックスで」
「あそこなら二人になれるし個室だから誰にも見られないし」
じっくりと話が出来るからだというのだ。
「いいからね」
「時間は」
「五時半にスタープラチナのカウンター前」
そこでだというのだ。
「私服でサングラスかけて行くけれど君の格好は頭に入れてるからね」
「だからですか」
「そこでね」
完全に彼女がリードして話が進んだ、そうしてだった。
晋太郎は彼女が言うままそのカラオケボックスに向かった、そこでだった。
待っているとジーンズにブラウス、そしてサングラスというラフな格好の彼女が来た。ブラウスの前の膨らみがかなり目立つ。
その彼女が微笑んで晋太郎に言ってきた。
「じゃあ今からね」
「はい、ボックスに入って」
「お酒でも飲みながらお話するわよ」
「いらっしゃいませ」
横浜ベイスターズの帽子を被ったカウンターの小柄な女の子が不機嫌な顔で応じてきた、見ればカウンターの後ろのスコアボードはデーゲームの結果が出ているが横浜は負けていた、今日も見事に負けていた。
その彼女の応対を受けてそうしてだった。
二人でボックスの一つに入った、晋太郎はテーブルを挟んで縮こまって座っている、だが彼女はリラックスした顔でアイスティーを片手に言ってきた。
「君毎日来てるわよね」
「それは」
「わかってるから」
晋太郎の退路はすぐに断たれた。
「もうね」
「そうですか」
「どうして毎日来てるのかもね」
それもわかっていると、リラックスしている調子で小さくなっている晋太郎に言ってくる。
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