第二章「クルセイド編」
第二十四話「魔法」
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うなら拍子抜けも良い所だとその顔は語っていた。
とは言えリオンは内心でこうも思う。
(チンタラ時間をかけてやるつもりも無い)
リオンがこうやってツァーライト一味の保護を受けていられるのには間違いなくタイムリミットが存在する。エレギオは勿論、今やリオンもフェイトも追われる身だ。フェイトはもう襲撃を受けたしリオンだって手術が必要なダメージを負った。精々あと一年が限界だろうとリオンは推測している。
そう。リオンがエレギオのような一流の魔道士から教えを受けられる時間はたった一年しか無いのだ。やりたいことは幾らでもあるしこれからもできるだろう。
だが一年と言う時間制限は余りにもシビアだ。普通の人間ではその期間で魔法を会得するなど不可能だと匙を投げるだろう。
ただしリオン・マグナスの勘定だと少々話が異なってくるのだが。
(一年……上等だ。あと一年でこの力を必ずモノにしてやる)
−−−−−−−
例えるなら浮気をされた妻の気分である。
リオンが魔法を習いだした事にシャルティエは大変不機嫌になっていた。
とは言え主の気持ちがわからないシャルティエではない。だからそれを直接口に出してリオン本人に言うような真似はしない。そう、リオン本人には。
結論から言うと。
アルフは今上司のエンドレス絡み酒に絡まれた哀れな平社員の気持ちを味わっていた。
「だからね。坊ちゃんはずっと僕と色々な事を乗り越えてきたんですよ」
「そうかい」
「晶術を使って、ね。そうし・よ・う・じ・ゆ・つを使ってね」
「うんうん」
「そうそうこれはね。坊ちゃんが13歳の時の事なんだけどね」
「へぇー」
「……んでモンスターをね。こう、デモンズランスでグサッと」
「すごいすごい」
返答の調子からわかるとおりアルフの疲労は今現在MAXに達している。無理も無い。既にこんな調子で二時間は経過していた。
(い、いつになったら終わるんだよ……)
もう何度内心でこの言葉を繰り返した事か。10を超えてからはもう数えるのも馬鹿らしくなってきていた。だと言うのにシャルティエの勢いは未だ衰えの兆しも見せない。唯一の救いはこのやる気を丸で感じさせない生返事でもシャルティエが気にしない所か。
かと言って
「あ、アタシそろそろ」
「あ、待ってください。まだあるんですよ」
……これである。
基本的にアルフはこういうノリの相手の話を打ち切らせるテクニックが使えるような器用な人間ではない。見た目に反して人生経験が浅い事も有る。更に言えばシャルティエの口調は表面こそ穏やかであったが、リオンに対する嫉妬心の鬱憤を篭めているのか有無を言わ
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