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IS インフィニット・ストラトス〜転生者の想いは復讐とともに…………〜
number-16 Valkyrie Trace System
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ことが、自分のIS《シュヴァルツア・レーゲン》にヴァルキリートレースシステムが搭載されていたこと。
自分が力を求めたからそれが発動してしまったことであった。


「ラウラ・ボーデヴィッヒ。」
「?」


考え込んで落ち込んでいるところに名前を呼ばれ、下を向けていた顔を千冬に向けた。


「お前は誰だ。」


ラウラには答えることが出来ない。
もうただがむしゃらに力を求めることが間違いであることに気付いた今、自分が自分でないような気がするのだ。
だから、何も言えない。


「では、お前は今日からラウラ・ボーデヴィッヒだ。まだ時間はある、ゆっくりと考えるがいいさ。」


千冬が言った言葉に衝撃を感じたラウラ。
だが、千冬は言いたいことだけを言って出ていこうとする。
しかし、ラウラが千冬を引き留めた。


「教官。」
「……もう教官ではないのだが、まあいいか。なんだ。」
「夜神鳥麗矢について教えてください。」


千冬は驚きで声が出なかった。
寝ても覚めても強くなることにしか頭になかったラウラの口から、男の名前が出ることに驚いたのだ。
しかも、あの天然ジゴロの弟ではなく、麗矢のほうだったことに。


「あいつか……まあ、気難しいところはあるが基本的にはいい奴だ。あとは良く分からんが……こんなものでいいか?」
「はいっ。」


千冬は小さく笑うと出ていった。千冬は昔からそういう人だったから特別気にすることはなかった。
一人残されたラウラは思う。
自分を助けてくれた人のことを。自分と同じ銀髪の青年のことを。


「――――――――。」


ラウラは笑う。この自分に恋心が芽生えるなんて思わなくて。ドイツの冷氷と言われたこの自分に。
また、ここからが新しい自分のスタート、とても清々しい気分だ。自然と笑みがこぼれてくる。
心の憑き物が取れ、笑うラウラはとても楽しそうに見える。


――――夜神鳥麗矢。


あいつのことが頭から離れない。助けてくれた強いあの人のことが。
あいつのことを考えると心が温かくなってくる。この強化試験体であるラウラの胸が。


ラウラは笑い続ける。
これからはとてもいいものになるとどこかで思いながら……。


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