SAO編−白百合の刃−
SAO30-運命の導きに癒す子守唄
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きる。
「キリカさん、ドウセツさん、スズナさん、大丈夫ですか?」
私は先ほど庇ったイチのもとへ駆けつけようとすると、逆にエックスと共にこちらへ寄ってきた。
「私は大丈夫。それより、イチも大丈夫なの?」
イチのHPは満タンで本人も何事もないように感じられた。HPだけを見れば特に問題はないし、切り替えるべきなんだろうが、イチは確実にフェイタル・ガイダンスの奇襲を受けてしまったのをこの目で捉えてしまった。回復したんだろうとはいえど、無事であることを確認するべきだ。
「あ、はい。大丈夫です。“あれ”を使いましたので」
「あ、“あれ”って…………まさか……」
「そのまさかです」
…………。
……どおりで、何事もなかったような雰囲気だったわけなのね。
そっか。“あれ”があったのをつい忘れてしまった。だからあんなことしたんだ……でも、私のために使わせてしまったのなら……。
「ごめん、使わせちゃって……」
「いえ、それでキリカさんが無事だったんです。謝る必要はありません」
「そうは言ってもね……」
今、私は先ほどとは違う罪悪感に苛まれてしまっている。
というのも、一度の戦闘で一回だけ受けたダメージを無効化する『完全防御』というユニークスキルで私を庇うために使ってしまったからだ。
「私のためなんかに使わなくてもいいのに……」
「お、落ち込まないでくださいキリカさん。わたしはなにも問題ありません」
……確かに、今は落ち込んでいる暇なんかなさそうだ。イチの言葉に甘えて、切り替えていこう。じゃないと本当に落ち込むだけで済まない絶望に呑まれてしまいそうだから。
「さて、どうすんだ?」
エックスの視線の先には、大型の黒い馬のボスモンスター……名はフェイタル・ガイダンスを捉えている。距離は十分に空いているし、こっちに寄って来てはいないものの、一瞬でも隙を見せたらこちらに突進攻撃を仕掛けてきそうだ。向こうがこっちに寄ってきてこないなら。今のうちに安全エリアに批難しようとするのが手だ。だが先ほどの突進力の速さ。あれの基準が良く分からない。下手に退避して一気にこっちに突進攻撃を仕掛けてきて、結果全滅になることだってなくはない。そもそもまずフェイタル・ガイダンスがどういうボスモンスターなのか、その情報が少ない。情報がない相手は真っ暗な闇のように不安で仕方がない。ここは慎重かつ臆病に現状維持していつでも対処できるように警戒しよう。これが最善なのかはわからないが、けして悪くはないはずだ。
「……みなさん、聞いてください」
イチが最初に提案してきた。
「わたしが殿を務めますので、みなさんは安全エリアへ避難して転移結晶で脱出してください」
「え?」
驚いてしまったが、そ
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