SAO編−白百合の刃−
SAO30-運命の導きに癒す子守唄
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たエックスは急に足を止め始めた。
「エックス?」
様子がおかしいのは一目了然だった。エックスから殺気と緊張が伝わる。ただ事じゃないのは確かなので、警戒を強める。
その時、警戒しなければならないものは唐突に現れて、一瞬で起こった。
「危ないっ!」
イチが唐突に私を突き飛ばしてきた。地面へと体がぶつかる瞬間にふと視線がイチへ向けられる。その時、不思議と時間と空間が歪むようにゆっくりとなった。
それはきっと、目に映っていたものなんだろう。
イチが馬の形をしたモンスターの前足で蹴られている、衝撃的な光景。
「イチ!!」
エックスが彼女の名を叫ぶころにはイチはエックスの方へと蹴り飛ばされてしまった。
私は必死な思いでなんとかしようと頭のフル回転。地面へ倒れた瞬時に立ち上がることに成功した。だが、一安心するのは遠い先のことだろう。
私はしっかりと突如現れたモンスターを直視する。
警戒しなければならない正体は大型の黒い馬。目つきは白目で鷹のように鋭く、たてがみはあらゆる血を吸ったような不気味な色で、生き物のように自然になびいて、なによりも直感でヤバそうなだと思わされる禍々しい紫色のオーラを纏っている。
名は『Fatal guidance』運命の導きと言う意味を持つ、イレギュラーで、最悪なモンスターが訪れた。
まずい。いろいろとまずい状況になっている。まず、イチの心配とスズナの心配だ。
警戒を劣らず位置確認。スズナはドウセツと一緒に黒い馬から離れている。イチはエックスの後ろへ倒れている。とりあえず最悪な結果になっていない。
けど、状況が良いわけではない。むしろ悪い方だ。特にスズナは戦えるはずもないのに、急にボスモンスターが現れるのは非常にまずい。固有名詞を持つってことは確実に地下ダンジョンのボスモンスター。そんな危険な存在がいる限り、危機から逃れることはできない。そしてそんな危機的な状況で私達が最悪な結果を招くことだってある。
スズナを安全エリアに避難させれば、少しは心が軽くなるんだろうが、その安全エリアに行く道をボスモンスターが立ち塞がっているのはかなりの痛手だ。どうにかボスモンスターの後ろを取っており、安全エリアに近いエックスにスズナを渡せば身の安全を守れるのだろうが、そう簡単にはいかない気がする。
私を守るために奇襲を受けてしまったものの、イチが缶蹴りのように軽く飛ばされたことの衝撃が強くて、不安が増して行く。正直逃げ出して楽になりたい。
くそう、甘かった。ユリエールさんからはボスモンスターがいるようなことを訊いておきながらも楽観的に考えていなかったし、想定外のこともそこまで深く考えてはいなかった。
フェイタル・ガイダンスを警戒していると、鋭い目がより一層鋭くなり、私を
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