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SAO編−白百合の刃−
SAO30-運命の導きに癒す子守唄
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襲って行く。
 私は…………また、また守れなかったのかな? また……また救うことができなかったのかな? やっと、前に進むようになったのに、守りたい人ができたのに、私のミスで失ってしまうのかな。
 嫌だ。
 嫌だよ。
 消えてほしくないよ。
 

「逃げてええええええええええええええええ!!」

 私にとって最後の希望を絶叫に込めて伝える。それと同時に足が一生使えなくても良いという根性と必死で足を動かす。間に合わないかもしれないが、立ち止まっていたら私は取り残されてしまう。そんなのは嫌だ。
 どうか私の声で生き残ってほしい。自分が死ぬのは恐い。でもそれ以上に私にとっての存在がいなくなるのはもっと恐い。
 だから逃げて……なんでもいいから…………逃げてっ!

「大丈夫」

 声が聞こえた。
 私でもドウセツでもない、声音。
 それが誰なのかがわからないまま場面は切り替え、信じられない光景が映っていた。
 ドウセツがスズナを守ろうと抱きしめ、それと同時にフェイタル・ガイダンスに轢かれそうだ寸前だった。
 スズナが掌を前に出すと、鮮やかな紫色の障壁を張り出す。それはフェイタル・ガイダンスと激突して、大音響と共に弾き返した。
 そして『Immortal Object』と言う、不死存在システムタグが表示される。意味は不死存在、意味通りならスズナはけして死ぬことはなく、そして確実に理解できたのはプレイヤーが持つことはないものをスズナが使えたということだ。
 障壁に弾き返されたフェイタル・ガイダンスは距離を取って、様子を見るように立ち止まる。おそらく障壁を作ったスズナを警戒しているのだろう。
 その直後、音色がダンジョン内に響き渡った。その音色は懐かしいようで、つい最近聞き覚えがあった。
 そうだ、これは……歌。スズナだ。祈りを捧げるように手を合わせ、目を閉じてスズナは歌っている。音色が響き渡り、辺り一面に穂のかな光が照らされていく。ここがダンジョンで、命が削がれる場所でありながらも、敵わないレベルを持つモンスターがいても、穂のかな光で照らされたダンジョンに殺伐としたものはない。まるで幸せな家族が笑い、楽しんだりする居場所、我が家のような雰囲気を味合わせるような気がした。
 おかげで、気持ち的に楽になって落ちつけるようになった。そして不思議と目の前にいるフェイタル・ガイダンスを警戒していなかった自分に驚きを隠せなかった。

「あ……」

 スズナの歌は我々プレイヤーを容赦なく襲うモンスターにも穂のかで温かい音色が伝わったのかはわからない。けど、大型の黒い馬はゆっくりと我が家へ帰るように振り返ってどこかへ行ってしまった。それと同時にスズナは歌い終わり、辺り一面に照らされた温かい光は消えて行った。

「……お母様、お父
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