第五十七話 武人の心、その意味
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ぶ。
「このバラン=ドバンが相手をしてやろうぞ!」
「ちっ、ペミドバンに乗ったか!」
「トウマさん、とにかくここは俺が!」
またタケルが彼に声をかける。今度は彼の方を振り向いていた。
「だから今すぐに!」
「くっ、わかった!」
忌々しげにペミドバンを見上げながらそれに応える。
「バラン=ドバン、見ていやがれ!今度こそ御前を!」
そう言い捨てて艦隊に戻る。タケルはそれを見送るとその顔をマーグとロゼに戻す。二人はそのまま彼と見据えていた。
「今度こそ容赦はしない」
マーグが言う。
「覚悟するのだな」
「兄さん、何度でも俺は言う」
タケルはマーグに対してまた言うのだった。
「兄さんは俺の」
「言うな!」
ロゼがそれを言わせない。両手から衝撃波を一直線に出す。
「戯言を!まだ言うのか!」
「戯言じゃない!」
ロゼのその衝撃波を後ろに跳んでかわしながら言う。
「兄さんは俺の!俺のたった一人の兄さんだ!」
「司令に弟君なぞおられぬ!」
ロゼは感情を露わにさせてさらに攻撃を放つ。
「その戯言を言う口、今度こそ!」
「くっ!」
タケルと二人の闘いがはじまった。その間にトウマ達は母艦に戻りバランが率いるバルマー軍と戦闘に入る。両軍はプラハを舞台に激突した。
「よいか!」
バランは全軍に指示を出す。
「狙うのは敵のみ。人にも建物にも目もくれるな」
「敵の殲滅のみですか」
「左様、我等が武器を向けるのは同じ武器を持つ者のみ」
有無を言わせぬ強い言葉だった。
「だからだ。街には一切手をかけるな。よいな!」
「わかりました!」
「了解です!」
バルマー軍はバランのその強い言葉に応え彼の指示に従うことにした。バランの言葉が軍をまとめたのだった。
ロンド=ベルはそれを見て。思わず唸らずにはいられなかった。火麻が感心して言う。
「敵ながら見上げた親父だぜ」
「そうデスね」
それにスワンが頷く。
「今回ハ正面からの戦いになりそうデスし」
「願ったり適ったりだぜ!」
力技の好きな彼らしい言葉だった。
「おう、野郎共」
「女性の方もおられますよ」
スタリオンが突っ込みを入れる。
「それはお忘れなきよう」
「おう、女共も!」
「相変わらず凄い言葉遣いだな」
「本当に参謀なのかな」
「疑問でごわすな」
健一、日吉、大次郎は今の火麻の言葉に思わず呟いた。
「正面から突っ込め!いいな!」
「また随分と単刀直入な指示ね」
「全くだ」
めぐみも一平も呆れる他なかった。しかしであった。
「ならそれでいいってことだ」
「じゃあ少佐、このまま」
「ああ、バルキリー隊いいか!」
フォッカーは輝の言葉に応えたうえでバルキリー全機に指示を出した。
「参謀の言葉通りだ。正面から派手に仕掛けるぞ!」
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