第五十六話 勇士バラン=ドバン
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第五十六話 勇士バラン=ドバン
「それは本当のことかい?」
「はい」
ロゼがマーグに対して答えている。
「間違いありません」
「そうか」
マーグはそこまで聞いてまずは感情を込めずに頷くのだった。
「わかった」
「宜しいのですね」
「私が言ってもどうこうもできない」
これがマーグの言葉だった。
「私風情がな」
「十二支族ギシン家の方が」
「あの方はまた別だ」
マーグはこうも言う。
「あの方だけはな。だから」
「我々としてもですか」
「それにだ」
マーグの言葉がここで少し変わった。
「悪い方ではない。違うか」
「それは確かに」
ロゼもその言葉には素直に頷いた。
「その通りです」
「だからだ。あの方が来られてもな」
「ハザル司令の様な心配はありませんか」
「そうだ。それどころかグラドス軍の牽制にもなる」
マーグはグラドスの名を出して顔を顰めさせた。
「彼等は今どうしているか」
「ロンドンでの戦いでかなりの戦力を失い」
「司令も失ったのだな」
「その通りです。立派な最期と聞いていますが」
「そういうことにしておこう」
マーグもグラドス軍に対しては冷淡だった。
「せめて死ぬ時はな。その様にな」
「わかりました」
「それでだ。グラドス軍は地球にはもういないのだね」
「はい」
今度もマーグの問いにも答える。
「その通りです」
「ならいい」
「ゴステロは瀕死の重傷を負い」
「生きていたのか、あの男」
ゴステロが生きていたと聞きことの他顔を顰めさせるマーグだった。
「はい。他の死鬼隊のメンバーもそうですが」
「ル=カインもだね」
「残念ですが」
答えるロゼの言葉も顔も次第に曇ってきていた。
「彼もまた」
「グラドス軍は問題があるなんてものじゃない」
マーグはまた顔を曇らせた。
「彼等はバルマーの恥だ」
「恥ですか」
「そうじゃないかい?武器を持たない者に攻撃を加えて何が誇りなんだ」
それをロゼに対して問う。
「ある星ではかつての住民の三割を殺戮したそうだね」
「確か」
「それがグラドス人なんだ」
また忌々しげに語る。
「自分達を偉いと妄信しそれにより他者を認めずに攻撃する」
「お嫌いなのですね、彼等が」
「正直に言うとそうさ」
それを隠しもしなかった。
「陛下も宰相も。止めて下さればいいのだが」
「司令、それ以上は」
ロゼはマーグが霊帝についても言及したところですぐに言葉を制止した。
「そうだったね、御免」
「はい。御気をつけ下さい」
「わかったよ。それでグラドス軍だけれど」
「はい」
話がグラドス軍のそれに戻った。
「ゲイル達も無事なのかな」
「負傷しているようですが無事です」
こう答える。
「そうか。彼
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