第四十六話 紅の幻想
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前が置かれている状況はあのラミアという女と同じ」
「どういうことだ、それは」
「御前の周りの者は全て『敵』」
そう『彼女』は言う。
「我等を打ち倒した憎むべき『敵』」
「『敵』!?」
「そうだ」
彼女はさらに言ってきた。
「アヤ=コバヤシ、リュウセイ=ダテ」
レビにとってはかけがえのないものになりつつある二人だった。
「ロンド=ベルの者達は全て我らの『敵』だ」
「嘘だ!」
レビはそれを否定した。それを言葉にも出す。
「そんなことは有り得ない」
「嘘ではない」
しかしもう一人の自分は邪な声で囁くのだった。
「あの者達は我等。ジュデッカと戦ってきた」
「しかしそれは」
ユーゼスに操られてのことだった。それを言おうとするが頭が割れそうになる程痛んだ。
「う、うう」
頭を押えて苦しむ。
「うう・・・・・・」
「さあ、迷うことはない」
ここでまたもう一人の自分が囁く。邪な笑顔と共に。
「私と一つになるのだマイ=コバヤシ」
こう囁く。
「我等の『敵』を倒す為に」
また言う。
「再びジュデッカを甦らせる為に」
「いや、違う」
しかしレビはそれを拒む。そのマイ=コバヤシとして。
「私は『敵』になりたくない。アヤ達の『敵』には」
「『敵』だ」
しかし彼女はそれでも言う。
「あの者達は我等の『敵』なのだ」
ここで必死に拒むレビから何かが出て来た。それは力だった。
「ううっ、あああっ!!」
「『敵』を倒せ!」
彼女はまた叫ぶ。
「我等の『敵』を。アヤ=コバヤシ達を倒せ!」
「嫌だ!」
しかしそれでもレビは拒む。
「私は・・・・・・!」
ここでレビを誰かが揺り動かした。彼女が目を開けるとそこにはシャインとラトゥーニがいた。
「マイ!」
シャインが必死に彼女に声をかける。
「しっかりなさいませ!」
マイ「!!」
「マイ・・・・・・」
ラトゥーニもいる。彼女は部屋の外から彼女の声を聞いて慌てて入って来たのだ。
「シャイン、ラトゥーニ」
レビが身体を起こして二人に問うた。
「どうして御前達が」
「貴女がうなされているのが聞こえたから」
ラトゥーニが彼女に答えた。
「それで」
「そうだったのか」
「大丈夫でございますか!?」
シャインが気遣う顔で彼女に問うた。
「あ、ああ」
二人に応えながら。夢の中でのことを思い出すのだった。
(ラトゥーニやシャイン王女が私の『敵』)
そのことを。
(アヤ達が私の)
しかしそれについて思うのだった。次第にはっきりと。
「マイ!?」
「ち、違う」
首を横に振ってそれを否定した。
「!?」
「違う、そんなことはない!」
またそれを否定した。
「そんなことは!!」
そう言って部屋を飛び出る。二人は慌てて彼女を追い掛ける。
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