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茨の王冠を抱く偽りの王
11.失われた聖夜の続き
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八尋は集の方を見る。

「なぁ、シュウ」

「道具というのはどういうことかしら?」

「こんな状況で助けにいかなくちゃいけない人って誰なの?」

「ひょっとして、いのりちゃん?いのりちゃんなのか!!?」

皆が集に疑問をぶつける。

「みんなにいっぺんに言わないで、シュウはちゃんと答えるから....ね」

集が何かを迷っている。

「もう時間がないの逃げなきゃ!」

「話してくれよ、シュウ!!俺たち友達だろ」

「桜満集君、あなたには答える義務があると思うんだけど」

集はまだ迷っている。
そんなに迷う必要なんてどこにもないだろ!!

集!!、俺の声にそこにいた皆が俺の方を見る。

「迷う必要なんてないだろ!!お前は、ガイじゃない!!お前は......桜満集だろ!」

どうやら迷いはなくなったようだ。
決意を決めたいい顔をしてる。

集は立ち上がり、祭の方を向く。

「祭!」

「なに?」

「これから僕は君にちょっと怖いことをするよ。でも何も心配しなくていい....危険はないから」

「うん、いいよ」

なるほど、集なりのやり方か....

「おっ!おい」

颯太が声をだす。

集は祭の胸のあたりに手をだす。
すると、まばゆいばかりの光が現れる。

そして、祭のヴォイドが姿を現す。

祭のヴォイドは.....包帯。

「祭、どうしちゃったの」

草間が心配そう言う。

「大丈夫。これを戻せば目が覚めるから」

「ど、どうなってんだよ、シュウ!!」

「説明してくれるのよね、オウマ君」

「これはヴォイド。人の心を形にしたものだよ。だから人によって形と効果は違ってくる」

集はそういいながら、壊れたふゅーねるの足の一部に祭の包帯を巻きつける。

すると、ふゅーねるはいつも通りに元気に動き出した。

集はヴォイドを祭の中へと戻す。

「あれ、わたし....」

「大丈夫。....今、君のヴォイドを使ったよ」

「わたし、どんなだった」

「祭らしい、優しいヴォイドだったよ」

「忘れちゃってると思うけど、颯太と八尋、それに供奉院さんからは前に取り出したことがあるんだ」

「俺らからも」

「君たちの心を勝手に盗み見た気持ちでずっと後ろめたかった.......ごめんなさい」

集の言葉に少しの間があく。
ここで俺のヴォイドを紹介するつもりだったけどしにくいな。

「それだけじゃないだろ!僕はその力をテロリストを手伝うために使いました....だろ」

「......八尋」

「言えよ。これから助けに行きたい人ってのも」

「そう、ガイといのり......葬儀社のみんなだ」
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