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蒼き夢の果てに
第4章 聖痕
第45話 蒼き世界での邂逅
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の関係だったとしても、今の俺と、この【念話】で繋がった彼女とは一切、関係がない相手なのですから。

 少なくとも、今の俺には一切の記憶がない以上は……。

【ねぇ、忍】

 しかし、何故か、俺の事を子分だと言い切った少女が、俺の名前を呼ぶ。
 それも、俺の今の名前を……。

 俺の名前を、この【念話】で繋がった彼女が呼ぶと言う事は、彼女と縁を結んだのは、前世の話ではないと言う事なのか?
 いや。しかし、俺は、彼女の声に覚えはない。確かに、【念話】で有る以上、確実に現在の声と同じ声が心に響いて来る訳ではない。しかし、それでも……。

 そんな、俺の疑問を無視するかのように、彼女は続けた。
 それまでの彼女に相応しくない、陰の気の籠った台詞。しかし、より彼女に相応しい雰囲気とも言える台詞を。

【貴方の言葉。信じて上げても良いわよ】

 そして、次に発せられた台詞は、俺に取っては、非常に有り難い言葉で有った。
 但し、彼女に相応しくない陰気の籠った、更に、かなり言い淀むような雰囲気の言葉では有ったのですが……。

【貴方が、私の事を……】

 其処まで言ってから、急に言葉を止める彼女。
 それから先の言葉は……。可能性が多すぎて、予想する事さえ出来はしない。

 まして、軽々しく答える事など出来る訳はない。

 僅かな逡巡。
 その逡巡に忍び寄る闇の(アギト)

 刹那、空を覆う魔性の触枝。俺と水の少女を逃がすまいとする触枝。
 有る触枝は、地面から。有るモノは、頭上から。そして、また有るモノは、円を描くように俺達の背後に回り込む。

 八本が更に、八本。それが更に八本に分かれた触枝が、世界を、そして何より俺達二人を完全に覆い尽くしたのだ!

【忍!】

 俺と縁を結ぶ少女から絶望的な叫びが聞こえて来る。
 瞬間、世界にひびが入る。

 しかし、その刹那。俺達を覆い尽くした触枝が、突如、爆発した。
 そう。不気味な球体状となった触枝から何本もの光りの線が発生し、内側から破壊したのだ。

【この程度の攻撃で、俺を捕らえる事が出来ると思っているのか】

 かなり余裕を持った雰囲気で、俺と縁を結ぶ少女に【念話】を送る。但し、俺の方に口調ほどの余裕が有った訳では無く、生来の能力を全開で、更に全方位に向かって放った為に、かなり霊力を消耗していたのは間違い有りません。
 確かに、生来の能力と言うのは、少しの修業により簡単に使用出来るように成る物なのですが、それでも完全に無から有を生み出して居る訳では有りません。

 純然たる意味で、俺の霊気を消耗して放って居る攻撃で有る以上、永久に攻撃し続けて居られる訳では有りませんから。

【忍。アンタ、ソイツを倒すんでしょ】


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