第四十四話 処刑
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んだよな」
「ああ、そうだ」
コウが彼に答える。
「警護もかなりのものだ」
「そうだよな。それでどうして」
「あっさりと逃げられるなんて」
「どういうことなんだよ、これって」
「やはりな」
だがバニングはそのことに何の疑いも抱いてはいなかった。予想していたと言わんばかりである。彼は今までの経験からわかっていたのだ。
「俺の考えた通りだ。逃げたか」
「少佐、わかっていたんですか」
「嫌な予感はしていた」
そう述べる。
「まさかとは思ったがな」
「それで司令」
皆は司令官に対して問うた。
「二人は何処に」
「それはわからない」
司令官もそこまではわからない。首を横に振るだけであった。
「だが。二人の脱走により多くの兵士が傷ついた」
「死者は!?」
「それがいなかったのは幸いだ」
「そうですか」
ルリはそれを聞いて頷いた。
「おかしいですね」
「おかしい!?」
「はい」
ルリはアキトの言葉に頷いた。
「本来ならば脱走の際基地を破壊していきます」
「あっ、そういえばそうね」
それにミレーヌが気付いた。
「工作員だったらそうするわよね、やっぱり」
「何か気紛れってやつでもなさそうだな」
バサラもそこに気付いた。やはりこの二人は鋭い。
「だったら何なんだ?」
「殺したくないとかじゃないわよね」
ミレーヌはまた言った。考えながら。
「いや、若しかしたら」
「そうかも知れないな」
しかしバサラがミレーヌのその考えを肯定する。
「あの時だってそうだったんじゃないのか?」
「あの時って?」
「だからこの前だよ」
バサラはまた言う。
「ほらよ、ハガネの」
「この前のあれね」
「そうだよ。その時にあっただろ」
彼はハガネの時の二人の話をはじめた。
「何でハガネの中で自爆しなかったんだ!?」
「それはハガネを乗っ取る為だったんじゃないの?」
「それもあったでしょうね」
それにミリアが頷く。
「確かに工作員を送り込ませていたし。けれどよ」
「けれど!?」
「どうせならアクセルかラミアだけが外に出ていればよかったじゃない」
そのことを指摘するのだった。
「けれどそうしなくて二人共出ていた」
「片方が中で工作活動に参加していたらハガネはマジで危なかったな」
フォッカーもそれに気付いた。
「しかしあいつ等は両方いたよな」
「そうですよね」
マックスがそれに頷いた。
「何でなんでしょうか。しかもすぐに自爆しなかったし」
「すぐにかよ」
「ほら、セレーナに落とされた時」
マックスはその時のことを柿崎に告げた。
「まだ意識あったよね」
「ああ」
「その時に自爆できたのに」
彼はそのことに気付いたのだ。気付けば話が早い。
「どうしてそれをしなかったんだろうね」
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