第四十一話 二人への疑念
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「大きな力が。また」
「はい」
同じものを感じているのはシーラとエレも同じであった。二人もまた顔に不吉なものを見せていた。
「神に似た、いえ」
「神そのもののような意志を」
「また。何かが起ころうとしているのか」
クレフはまた言った。
「地球において。そして我々に対して」
「少なくともこれからも色々あるのね」
「そうなりますわね」
海と風は彼等の話からそれは感じ取っていた。
「不安になるわね」
「はい。それでも」
「戦うしかないんだよ、海ちゃん風ちゃん」
光はそれでもいつもの光だった。彼女は変わらない。
「私達は。今はそれしか」
「ええ、わかってるわよ光」
「光さん、それでは」
「うん、まずは地球に行こう」
彼女はあの二人は見ていなかった。そうした少女なのだ。
「何があるのか見てから。動こうよ」
「そうね」
「そうですわね」
二人も彼女のその考えに賛同するのだった。結局のところそれしかなかった。
「じゃあ光」
「いざ。地球へ」
「降下地点はフランスです」
エイタが報告する。
「丁度パリ近郊です」
「パリか」
テツヤはパリという地名にまず反応した。
「今は遊んでいる場合じゃないがな」
「ですがそれでも」
エイタはそれでも言うのだった。
「パリと来れば」
「いや、ここは」
しかしここでダイテツが話に入るのだった。
「一旦ニースに向かうぞ」
「ニースですか」
「そうだ」
彼は言うのだった。
「連戦だった」
「確かに」
これは誰もがわかっている。彼等は長い戦いを経てきていたのだ。
「だからだ。敵との一戦まで一旦」
「保養ですか」
「すぐに戦いははじまりそうか?」
「いえ」
エイタが彼に報告する。
「今のところは。その彼等ですが」
「何処にいる?」
「どうやら一時潜伏に入ったようです」
「潜伏だと」
「はい」
エイタはまたダイテツに述べた。
「地球に降下してすぐに姿を消しました」
「何か仕掛けてくるな」
「間違いありませんね」
テツヤも同じ読みだった。そして二人はそれが正しいと確信していたのだった。これはシャドウミラーのことを考えれば当然のことであった。
「問題は何処ですが」
「そうだ。だが」
ここまで話したうえでダイテツはまた言うのであった。
「しかし出て来るまでにはまだ時間があるだろう」
「それでは艦長、やはり」
「うむ」
彼の決意は変わらなかった。
「ニースに向かう。予定通りな」
「わかりました。それでは」
その予定は変更されることはなかった。こうして彼等の戦いの前の休息の時が訪れたのであった。彼等にとっては幸いなことに。
第四十一話完
2008・2・10
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