第三十六話 ディーンの火
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していたのかね?」
「ベルグバウのことも含めて予測外のことだったようです」
こう答えた。
「そしてキャリコは記憶を失った自分を欠陥品と呼んで処分しようとしました」
「その件に関しては他の者からも報告を受けている」
「そうですか」
今度はブライトの言葉に応えた。
「ではやはり」
「君の記憶が戻らない以上これ以上の詮索は無意味だが」
大文字はまた彼に声をかけた。
「問題は君の処遇についてだ」
「拘留、あるいは処刑ですか」
「いや」
それは大河が否定した。
「君の場合利敵行為に当たる行動は一切見られない。これは他のメンバーの証言でも明らかだ」
「よって君を処罰する理由は今のところない」
また大文字が言ってきた。
「しかし」
だがクォヴレーは自分から言ってきた。
「自分はロンド=ベルの敵。ゼ=バルマリィ帝国の人間です」
「今はどうなのかね?」
しかし大河はその彼自身に問うた。
「今の君は」
「今の自分ですか」
「そうだ。それはどうかね?」
「ロンド=ベルの」
クォヴレーはそれに応えて話しはじめた。
「ロンド=ベルのメンバーだと自分では認識しています」
「ならそれでいい」
「えっ!?」
大河の言葉に思わず顔を上げた。
「それは一体」
「君をロンド=ベルのメンバーとして認めると言っているのだよ」
「自分をですか」
「意外かね?」
驚くクォヴレーに対してまた声をかける。
「ですが」
しかし彼は言う。
「記憶が戻れば自分はロンド=ベルの敵になるかも知れません。それに」
「それに?」
「現に今自分がここにいることで敵に情報が漏れている可能性もあります。それでも構わないと?」
「君の身体に関してはGGGの方でも調べさせてもらった」
「そうだったのですか」
これもあらたにわかったことであった。
「その結果特に問題はないと思われる」
(なら)
しかしクォヴレーはそれを聞いて心の中で思うのだった。
(あの声は何だというのだ?)
「君の記憶が戻り敵対行動を見せた場合は然るべき処置を取らなければならないが」
大河はまた言う。
「現時点では君を敵と認識してはいない」
「そして」
今度は大文字が言った。
「君のロンド=ベル所属に関しては、ゼオラ=シュバイツァー少尉やアラド=バランガ少尉以下多くの者達から嘆願書が出ている」
「ゼオラやアラド達が俺を」
「彼等は君を仲間として認めている」
そうクォヴレーに告げるのだった。
「後は君の判断次第だ」
「俺のですか」
「それでだ」
ブライトが彼に問うてきた。
「君の本音はどうなのだ」
「自分は」
クォヴレーはそれに応えて言う。
「ロンド=ベルへの所属を希望します」
「了解した」
これで全ては決まった。
「では以上だ。行き
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