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Fate/stay night -the last fencer-
第一部
運命の夜の先へ
狂躁の夜を越えて(U)
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カで一つの魔術の大家になってしまえば、レイジがそういうことで悩む必要もなくなるわけでしょう?
優秀な母胎で優秀な子孫も残せて、一石二鳥じゃない」
「ち、違うでしょう? 俺が家をどうにもできない問題から、何故に凛と、その、こ、子作りする話になるんでございましょう!?」
くそ、こういう話題には耐性があるはずなのに!
まさか自分のサーヴァントと話してるときに、こんな流れに持っていかれるとは予想だにしなかった。
そしてなまじとんでもない美人で可憐に見える少女の口から、そんな生々しい発言が飛び出るとは想定外だった。
いや、もしかしたら────彼女の生きていた時代ではそういう事が普通だったのかもしれない。
政略結婚という言葉もあるように、魔術師の家系で一子相伝の子以外の弟妹たちをどう扱うかは、当主が自由に決定する権利があったはずだ。
他家とのパイプが欲しい者、優れた魔術師の遺伝子を欲する者、理由は様々だったろうが、そんなやり取りが常識だった時代もあるのだから。
だからと言って、現代の魔術師である俺たちにまでその基準を当てはめるのはどうだろうか。
「家がどうとか母胎がどうとか、そんなので決めるのは間違ってんだろ。そもそもそこには、相手を思いやる心が欠けている」
「不思議なことを言うのね。魔術師はみんな、祖先から子孫に至るまでの一族全てを含めて、根源へと至るための道具でしょう?
そこに余計な感情や思考を挟む余地なんて無い。レイジとリンなら、中々の
純血種
(
サラブレッド
)
……いえ、
混血種
(
ハイブリッド
)
が生まれそうだけど」
心底おかしそうに、フェンサーは俺を見て笑っている。
彼女の言うとおり、おかしいのは俺なのだろう。
互いに納得する恋愛をして結婚をするというのは本当に稀有な例。
魔術師はすべからく、そういった恋愛面に限らず不自由を強いられる職業だ。
他人の思惑の上で成り立った繋がり全てに愛が無かったとは思わないが、明確に愛している相手と添い遂げた者もまた居ないはずだ。
そういった諦観の念から結局はそうなるしかないというのなら、出来る限り優秀な遺伝子を持つ相手を選ぶのもまた魔術師として正しい在り方。
ただ俺自身が、そのことに吐き気を催すというだけで。
相手の心を見ない関係に挟まれて育つ子供は、果たして正常といえるだろうか。
そうやって少しずつ、自分自身の心も見えなくなってしまうのではあるまいか。
それらの蓄積が、今の魔術師の在り方を語っているのかもしれない。
逆に言えばそうして魔術師として余分な
人間部分
(
アイデンティティ
)
を、自らの内から排斥してきたとも言える。
ただ一つ確かなことは────
「俺はそれ、気に入らないわ。同じよ
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