暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第一部
運命の夜の先へ
狂躁の夜を越えて(U)
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に信じられていた時代──正統の教会や修道院はたいそうご立派な建造物だったと聞くし。

 だからといって、居住に対する文句を認めるわけにはいかん。
 机の上にコップを置きながら、フェンサーにでん、と向かい合う。

「不満があるなら家に居る間は外で待機でもいいぞ」
「わかったわ。じゃあホテル代頂きますわね」
「このサーヴァント、一体何をほざきやがる」

 いくら現代の知識が刷り込まれているとはいえ、この適応力は何事か。
 いやそれ以前に、過去の聖杯戦争においてホテルに滞在するようなサーヴァントが居ただろうか、いや居ないに違いない!

 もし居たなら出て来いよ。説教してやるよ、俺が。

「贅沢言うな。俺のサーヴァントなら尚更だ」
「まあさっきのは冗談だけれど。生活レベルの向上は進言いたしますわ、マスター?」
「う……確かに備え付けの家具使い回して、他のもリサイクルショップで買ってきたもんばっかりだけどさ」

 別に節制が趣味と言うわけでもないが、俺一人で稼げる金銭で生活していこうと思えばそれなりの工夫が要るわけで。

 魔術に関すること以外で、黒守の財産に手をつけるのもプライドが許さないわけで。

「ウチの屋敷自体は冬木市に近い場所に移してあるんだけどなぁ」
「なんで自分が住んでる場所に拠点を置かないの?」
「黒守の屋敷ってことは、俺個人の陣地であり、中には工房もある。それを凛の領域である遠坂の土地に設置するには、オーナーにそれなりの対価を支払わなきゃならないからさ。
 凛も後見人の神父さんも無茶苦茶な要求はしてこないだろうけど、俺がこの土地にいる間ずっと対価を支払い続けるのも問題ありだろ。屋敷と工房を開いたままにしておくのは便利だけど、それにだって維持費や管理費がかかる」

 飲み物を注いだコップに口をつける。

 ここを永住の地、もしくは故郷と定めてしまうのならまた違う考えにもなるのだが、今のところはそんな予定もない。
 卒業すれば時計塔のあるロンドンに移住するわけで、永住するつもりは無いが、もしかしたらそのまま帰ってこない可能性だってある。

 俺が死んだ時には魔術協会が遺品などを屋敷ごと回収にやってくるだろうが、その土地のオーナーにもいくらか黒守の遺産が渡ってしまうわけで、それはいただけない。

 黒守の遺産は全て俺一人が使用し、俺が最後に後始末を受け持たなきゃならない大事なものだ。

「ふうん。それならさ、レイジがリンと子供を作ればいいんじゃないの?」
「ブフッ!? げほッ、けほ……っ!!」

 飲む途中だった液体を盛大に噴出し、反射で自分の顔面に噴射させながら俺は咳き込むのを止める。

 このサーヴァント、さっきから何を口走っているのか!?

「だってクロガミとトオサ
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