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Fate/stay night -the last fencer-
第一部
運命の夜の先へ
狂躁の夜を越えて(U)
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子として気にするほどのお肉はついてな──ぐげっ!!?」

 途端、強烈な衝撃が顎を打ち上げた。

 危うく舌を噛みかけたがセーフ。
 というか、今気にするべきは舌ではなく、俺の顎骨が砕けていないかどうかだ。

 膝をつき、顔下半分を押さえながら蹲る。

「……い、いいか士郎。これ……これが軽率な行動ってヤツだ…………」
「あ、ああ、わかった。だけどそんな身を以て実践しなくても…………」

 士郎の言い分はごもっとも。
 親の仇を見るような修羅の眼光を俺に向ける凛さんは、未だかつてないほどに恐ろしい気を放っております。

 なんだろう、俺の確認行動はそんなにいけないことだったでしょうか?

「ほんっと、この男共は……!」
「痛ぇ……ちょー痛ぇ……」
(今のは……マスターが悪いと思う)

 自分のサーヴァントにも見放された。

 泣きたい。

「……ふん。私の話はそれだけよ。後は貴方たちでサーヴァントと話し合って勝手に訊きなさい」
「………………」
「何よ、黎慈。文句あるの?」

 若干イラッとした素振りを見せながら俺を睨む。

 無言の抗議を含めて目を向ける。

 そんな俺の目線は、凛の一部分とフェンサーの一部分を行ったり来たり。
 それに気付いた凛が、むっとした表情でこちらを見据えた瞬間────

「……へっ」
「っ…………ねえ、黒守くん。今もしかして鼻で笑った? 笑ったわよね? 笑ったんでしょ!? いいわよ、あんたがそうならこっちにも考えってモンが…………!!」
「ちょっ、やめろ遠坂! 頼むから家で魔術をぶっ放すのだけはやめてくれー!」

 あまりの怒りに魔術刻印が起動する凛さま。

 わー、きゃー、と喚き立てながら、呆れたフェンサーと駆けつけたセイバーが止めるまでこの騒ぎは続いたのである。















 一頻り騒いだ後、衛宮家を跡にして遠坂と共に帰路につく。
 サーヴァントは目立つので、さすがにお互い霊体化させている。

 ちなみにどういう形で騒ぎが収まったかと言うと、凛が俺と士郎を気が治まるまでポカした挙句、土下座させる方向で事なきを得ました。

 いやね、俺だって殴られるのは本意じゃないんですよ?

 とりあえず現在誰に一番謝りたいかと言うと、侮辱いたしました凛さまではなく、迷惑を掛けた己がサーヴァントでもなく、見事なとばっちりを受けた士郎にです。

 本当に申し訳ありませんでした。

「痛いよぅ……朝から打ち身だらけとか……聞いてるか、凛?」
「………………」
「もう、拗ねるなよー。凛ー?」
「………………」
「勇気りんりん、私パンダししょ──うぎゃぁっ!?」

 痛い痛い痛い!?

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