10.失われた聖夜の前兆
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いのかだ」
ガイの態度に腹が立つ。
「なんだよ.......。俺はもうあんたにはついていけない。......葬儀社を抜けさせてもらう」
「そうか、それならそれでいい。行くぞ綾瀬、シオン」
今、ガイがシオンって言わなかったか?
「待ってください、ガイ!!あんたのこと信頼してたのに!!」
綾瀬は声をあげ遠ざかるガイについて行く。
「ゴメンね、王様。私、行かなくちゃ」
「何でシオンが」
「わかんないけど、私がいるみたいなんだ。じゃあね、王様」
シオンはいつものように笑っていた。
「ま、待てよ、シオン!!!」
俺の言葉は届いていたが、シオンは振り向くことがなかった。
家に帰るとまるでシオンが最初からいなかったかのようにシオンがいた形跡が全くなかった。
次の日となる。
やはり変わらぬ日常ただ違うのは、シオンといのりがいないことだ。
ただ、シオンといのりがいなかった時と同じような日常に戻っただけだ。
俺にとって葬儀社は非日常でしかなかった。
それでいて.........
昼休み。一人になれる場所を探してたどり着いたのは、映研部室近くの広場の階段に寝転ぶ。
映研部室は集がいるだろうから、行きずらい。
「なにが葬儀社を抜けるだよ。なにが罪の王冠だよ。なにが共犯だよ。.....なにが、なにが」
今までの葬儀社での出来事が頭の中を駆け巡る。
こんな形で葬儀社を抜けて良かったのか......こんな形でガイを、綾瀬を、アルゴを、大雲を、四分儀さんを......そして、シオンを裏切っていいのか。
すると俺の頭の中で羽虫どもがざわめき、右腕がうずく。
そして、何かのビジョンが俺の頭に浮かぶ。
そこは景色のいい海の見える丘の上。
そこに帽子をかぶった桜色の髪の少女と茶髪の少年と金髪の少年.....そして、水色の髪の少女と一緒に海を見ている。
だが、羽虫どもがうるさすぎて声が聞き取れない。
映像はいきなり変わりそこはどこかのわからないがそこはあたり一面、火の海に包まれていた。
俺はこの光景を見たことがある。
あの日だ.....あの全ての終わり.....俺の始まりの日の光景だ。
でも、何で今頃この光景が.....待てよ、まさか....
何かを思い出しそうになった次の瞬間、歌が聞こえる。
その歌が聞こえた瞬間、頭が壊れそうなくらいの頭痛がする。
「なんだ....この歌は......!!」
この歌は....なんだ。
でも、この感覚はあの時と一緒だ。
.......あの時の悲劇。
.......10年前に起きた災厄の事件。
.........ロストクリスマスに
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