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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
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第四話「急転」
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萌香お嬢様っ!」
運転手の声を振り切り車から降りて走り出す。脳裏には母さんと交わした最後の会話が繰り返されていた。
『萌香、あなたにはこの館を出て行ってもらうわ』
『お別れをするしかのないの。今は何も聞かないで』
「――嫌だよ、お母さん……。なんでそんなこと言うの? 今まで一度も離れたことないのに」
溢れ出る涙を零しながら、それでも走る。母さんのもとへ。
「やっぱり、お別れだなんて嫌だよ……おかぁさん……!」
あの笑顔を、もう一度見たい。
† † †
「……」
「……」
両者が構えて三十秒が経過した。俺は依然隠れたままだ。本当に危険と判断した時に出る。
先に動いたのは亞愛だった。
以前に俺と戦った時以上の速さで駆け出し、顔面に手刀を放つ。お袋は体を捌くことで回避。
――!
突き出した手刀が進路上の鎧を貫いた? いや、それにしては貫き方がおかしい……。
母さんは愕然とした様子で亞愛を見つめていた。
「あなた、その術は……!」
「私だってなにも無策で挑んだわけじゃないわ。確かな確勝があるから、こうしてアカーシャさんの前に立っているの」
手を横にスライドすると、鎧は何の抵抗も見せずに切断されていく。まるで、熱した刃でバターを切るかのようだ。
「これは結界術の応用で自分の存在する『次元』をずらし、あらゆる物体を透過するように破壊する秘術――崩月次元刀。三大冥王の一人、東方不敗が使った史上最強の刃」
――おいおい、なにか奥の手を隠し持っているとは思ったが、さすがにそれはないでしょ……。次元をずらすなんて、対処の使用がないじゃないか。
「……末恐ろしい子。あの人にしか使えないとされていた次元刀をその歳で身に付けるだなんて」
「私は幼い頃から中国の苗家に身を寄せていた。そこで殺し屋として大勢の敵を葬りながら、日々東方不敗の術を研究していたの。すべては貴女を倒し、真祖の力を得るために……!」
再び手刀を構えた亞愛が突貫し、腕を振るう。間一髪上体を逸らすことで回避するが、掠めたのか胸部が浅く切り裂さかれた。
「くっ」
後方に宙返りして間合いを遠ざけるが、視線の先には亞愛の姿はない。
いつの間にか背後に回り込んでいた亞愛はその首に手刀を叩き込む。慌てて頭を下げて躱すが、またもや薄く首筋を切り裂かれた。
跳躍して距離を取るお袋。その上空で、腕を交差させた亞愛は溜め(・・)に入って
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