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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
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第四話「急転」
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ける。その顔には変化はないが、俺にはどこか無理をしているように思えた。
「私の目的を果たすためにはここにいる訳にはいかないの。最強と呼ばれたアルカードのように“真祖の力”を手にするまで、私は立ち止まるわけにはいかない。だから血が必要なのよ。アルカードを倒して三大冥王と謳われたあなたの血が」
「それで……真祖の力を手に入れてどうするの? アルカードのように、自分を苦しめた人間たちを滅ぼすつもり?」
お袋の言葉にビクッと身体を震わせる亞愛。その反応だけで応えは如実に表していた。
――そうか、亞愛は人間に……だから、世界を手にしたいなんて言うのか。……あれ? ということは、亞愛は人間である俺も嫌いなのか?
「千夜も嫌いなの?」
お袋がまさに懸念していたことを口にする。聞きたいような、聞きたくないような。
「兄様は……嫌いじゃない。けれど、彼は人間だもの。人間は嫌い」
――……嫌い、か。妹からの嫌い発言は思っていた以上に応えるなぁ。
「そう。それについては何も言わないわ。それはあなたが自分で向き合わなくちゃいけないことだもの。ただ、母としては千夜を、人間としてではなく朱染千夜として見てほしいわね。じゃないと、あの子が可哀想だわ、何かとあなたも気にかけてくれていたし」
「……」
話が脱線したわね、とお袋が亞愛に向き直る。
「この棟には誰にも近づくなと言いつけてあるから。邪魔は入らないわ。だから遠慮せずに掛かってらっしゃい。私は母として、貴方の想いを受け止めてあげる」
微笑むお袋に亞愛は先程の冷たい笑みを浮かべた。
「……謝謝。恩にきるよ、アカーシャさん」
――どうしよう……出るに出れないんだけど。
† † †
「心愛……刈愛姉さん……亞愛姉さん……千夜兄さん……お父さん、お母さん……」
兄さんたちと別れて何分が経過しただろうか。一時間の様な気もするし、一分の様な気もする。
「おかぁざん……」
俯いた顔からはポロポロと涙が零れ、私の手に落ちては弾ける。
ふと、手に母さんから貰ったロザリオを握っていないことに気が付いた。
「止めてッ!」
思わず、止めるように口にしていた。運転手が驚き、ブレーキを掛ける。
「お嬢様? どうされましたか?」
「そうだ……ロザリオ。お母さんからもらったロザリオ取ってこないと……。せっかく作ってくれたんだから、ちゃんと受け取ってこなくちゃ……」
「あっ、いけませんお嬢様!
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