暁 〜小説投稿サイト〜
IS《インフィニット・ストラトス》‐砂色の想い‐
集結準備
[5/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
静寂を待っていたかのように正面の扉からノック音が響き、ティーセットを持ったジェーンが入ってきた。

「お疲れ様です」

 ジェーンはそのままヴィクトリアの横につくと紅茶を入れて静かに差し出す。

「ありがとう。セシリアは?」

「現在実家の方で溜まった仕事を片付けているとのことです」

「はあ、また一人で背負い込むんだから」

「あれの性分は変わらないものかと」

 そういうと2人は同じようにため息をついてしまう。
 プライドが高いのは貴族の名誉を守るためでもあるけれど、もう少し頼ってほしいのが姉のように接してきたヴィクトリアとジェーンの気持ちだったりする。
 事実彼女の両親が亡くなったときもヴィクトリアはセシリアが一人で切り盛りできるようになるまでは後見人になり、ジェーンはISに関する知識を教えていた。

「そうね。ジェーン、当然貴方にも着いてきてもらうわよ。セシリアにもそう伝えて」

「はい。あ、それと例の福音時のアラクネの件ですが……」

 その言葉で姉の様な笑顔を浮かべていた2人の表情と空気が真面目なものへと変わる。

「やはりあの組織がかかわっている可能性が大きいそうです」

 ジェーンは若干18にして、IS学園を卒業した実力からイギリス情報局秘密情報部、通称MI6に所属している。その情報は確かなものといえる。少なくとも外部(米国)からもたらされるものよりは確実である。
 ヴィクトリアはその言葉を聞くと少しだけ背もたれに寄りかかってため息をつく。

「今まで大人しかったものね……EU各国に警戒を厳にするようにと」

「既に」

「そう、それからセシリアには伝えないでいいわ。あの子に余計な心労を加えさせたくないから」

 姉2人としては妹分に余計な負担を掛けたくないのが本音だが、セシリアがイギリスの将来を担うBT兵器適合率最優秀者というのもまた事実だ。彼女には未完成のBT兵器を完成形に持っていくという使命が第一。それ以外は今の彼女が知る必要はない。
 それを理解しているジェーンはヴィクトリアの言葉に一度だけ頷く。

「了解しました」

「それから今回は『リヴァイブ』を使うから用意をお願い」

 ヴィクトリアの言葉にジェーンが不思議そうに顔を傾げる。

「は、はあ。『ゼフィルス』はよろしいのですか?」

 ジェーンの言葉にヴィクトリアは首を振る。
 『サイレント・ゼフィルス』。イギリスが開発したBT兵器搭載型の『ブルー・ティアーズ』の試作強化機体であり、攻撃ビットの他にシールドアンブレラという防御ビットを採用した攻防優れる最新鋭機体である。トライアル段階であるため未だに情報開示はされておらず、現在は工房でヴィクトリアがデータ収集を兼ねて半専用機として使っている
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ