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IS《インフィニット・ストラトス》‐砂色の想い‐
集結準備
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代表候補の何人かが真冬に寒中水泳10kmなんてやらされたって話もある上、こんな真夏の数キロもある滑走路を10往復もしたら達成前に熱射病か脱水症状で確実に倒れる。しかもそれで回復したらまたやり直しだ。そんなことさせられるくらいなら今の暑さを我慢した方が2人ともマシなのだ。
 うむ、と舞子が頷くと千歳が座っていたソファーの前にあるもう一つのソファーに座って二人にも座るように促す。
 2人が座るのを待って舞子が小脇に抱えていたファイルを二人の前の机に広げた。

「これは?」

「まあ仕事内容についてだ」

「はあ……」

 2人がそのファイルの中の紙の一番上を捲る。そこには細かな文字がびっしりと敷き詰められており、2人は露骨に嫌な顔をしたが、ふと一番上の項目を見て目の色を変えた。

「榛名二尉……これって」

「もしかしますけど……」

 その2人の反応を見てから舞子はニヤリと妖しげに口の端を吊り上げた。

「2人とも私とともにそれに参加してもらう」

「や、やっぱりそうですよね……」

「面倒です……」

「上杉、滑走路行くか?」

「頑張ります」

 舞子の言葉に千歳が漏れた本音を引っ込める。

「あのー、ボク達だけですか? 他に参加者は? IS学園に更識もいるはずじゃあ」

「IS学園所属のあいつが使えるか。表向きとは言えIS学園に所属する生徒は国家機関との接触を禁じられているんだぞ? それに簪はまだ機体が完成していないしな」

「じゃあ私も参加しない」

「ほう……入学時期を自己の都合で勝手に辞退して食道楽していた奴からそんな言葉が出るとは……」

 舞子の額には青筋どころか笑顔が浮かんでいる。それはもう100人いたら100人がこの人は笑顔じゃないというほどの怖い方の笑顔だ。

「是非参加させてください」

 それを見た瞬間に千歳は腰を45度曲げて綺麗なお辞儀をして見せ、響は呆れたという風にため息をつく。
 現状は触らぬ神に祟りなし、腕もさることながら人の機微を読むのも代表候補生には必要だ。何せ国の代表になる可能性があるのだからそのくらいは出来る。
 とにかく今はこの部屋にもういたくない上に、そのためにも舞子に逆らうのも得策ではない。

「とにかく! 現時刻を持って江本 響、上杉 千歳の両名は硫黄島分屯基地での訓練を終了。1500に私とともに横須賀基地へ向かってもらう。準備しろ!」

「「はい!」」

「江本! 上杉がどっか行かないようにしっかり見張っておけ! なんなら力づくで押さえ込め!」

「は、はい!」

 それだけ言うと舞子は書類を置いて部屋を出て行った。部屋に残されたのは少女2人と夏の音、更には仕事の山である。

「むう……信頼無い……
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