第一章 無印編
第十話 『海鳴温泉(前編)』
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ってきた。
シホとフィアットは同時に『馬鹿なッ!?』という感想を抱いて未然に防ごうと思ったがすでにユーノはこちらに投げられていた。
それをなのはが見事にキャッチして三人娘に弄られまくっていたが、
《兄さん! 殺されたいんですか!?》
《恭也さんに言ってよ! 僕の力じゃ抵抗できないよ!》
《…恭也さんも無謀なことを…。狼を放り込んだにも等しい行為なのに…》
それからなのは達三人は露天の方に(ユーノはなのは。フィアットはアリサに掴まれて)行ってしまった。
シホはやれやれと溜息をつきながら、美由希達がいる場所の隣に沈んだ。
「お風呂はもっと静かに過ごすものだと思うのですけど、そこの所はどうなんでしょうか?」
「別になのは達の年齢ならあれくらいがちょうどいいと思うよ? むしろシホちゃんの方が落ち着きすぎている感じだけどね」
「そうでしょうか…」
「その通りよ。それで、少しは落ち着いた…?」
忍の問いかけにシホは微笑を浮かべながら、
「はい。一度頭の中をクリアにしたらスッキリしました。
それに一気に想いが押し寄せてきてくれたおかげでこれからについても色々と考える事が出来ました」
「そう…。ならよかったわ。気絶しちゃった時はどうしようと思ったんだから」
「ご迷惑おかけしました。でももう大丈夫です」
それで会話は途絶えてしばし経過した頃に、
「…まだ、胸をはって頼るってことは私には難しいです。今まで一人で不器用に道を貫いてきましたから…」
「「………」」
二人はシホのその言葉に無言で耳を傾けた。
「だけどいつか…ううん、もう少し時間を置けたら少しずつでも頼っても…いいですか?
私は…もう道を踏み外したくない。
美由希さんや忍さん…それになのは達や士郎さん、桃子さん、恭也さん達には…
前の世界で家族のように接してくれた人達のように悲しい想いをしてほしくない。だから…」
「…うん。それだけ聞ければもうなにも言わないよ。
それに遠慮なんてしなくていいんだからね? 私達は家族なんだから」
美由希がシホの後ろから手を回して抱きしめてくれた。
「そうよ。もうシホちゃんにとって二度と取り戻せない過去かもしれないけど、まだやり直せるんだから現在(いま)を精一杯生きなきゃ…そうでもないと置いてきた人達に申し訳つかないわよ。
だから遠慮なんてしなくていいの! わかったら返事!」
忍も励ますようにシホの手を握ってくれた。
それでシホは心が満たされる気持ちになって久しぶりに眩しい笑顔を浮かべて「はい」と答えた。
だがその際二人は思わず顔を赤くしてしまった。
そして『やっぱりその笑顔は反則ね…』と思っている事が重なったりした。
◆◇―――――――――◇◆
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