第一部
閑話
[3/3]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
、一体何故診察などという行為をする必要があるのか?
・・・それは、彼女が歴史上でも類を見ない、初めての【機械人間】のカンピオーネだからである。
以前、とある事件により、白井沙穂は命を落とした。普通の人間ならば、そこで終わりだっただろう。・・・しかし、彼女を取り囲む環境は、異常であった。
伊織魔殺商会が世界に誇る最凶最悪のマッドサイエンティスト、ドクター。
そして、戦乙女と死者の魂の取り合いをし、更には死んだ自分さえも生き返らせたという、稀代の大魔術師リッチ。
この二人の『アウター』が揃っている環境など、全くもって普通とは呼べないだろう。
彼女はこの二人の奇跡によって、ほぼ完全な形での死者蘇生を果たした。・・・しかし、元より自身の兄を討つ為にドクターは彼女を蘇らせたのだ。以前のままの彼女では兄を弑逆することなど不可能。それを知っていた彼は、あろう事か彼女の体を改造したのである。
彼の思惑通りに水無月の時雨を弑逆した沙穂であったが、そこに現れたのは全てのカンピオーネの母親である『パンドラ』であった。新しい娘の誕生に嬉々として現世まで赴いた彼女だったのだが・・・彼女の体の半分以上が魔導機械により構成されていることを知ると、上手くいくのか不安になった。
そもそも、人をカンピオーネとする術式は、彼女たちが『パンドラの箱』から見つけた、人類の最後の希望である。つまり、出処は不明であり、彼女にもその術式の全貌は未だに掴めていないのだ。魔人がカンピオーネになれないのは既に判明していたのだが、果たして【機械人間】はカンピオーネになれるのか?確証が掴めぬまま彼女は術式を行使した。
結果。
白井沙穂はカンピオーネになった。なることが出来た・・・が。
どうやら、彼女の体の機械も、肉体の一部と認識されてしまったようで、全ての機械が生きている状態へとなった。自己再生もすれば成長もするという、何とも奇妙な性質を得てしまったのである。
これを知ればドクターが研究したがるのは当然であった。パンドラも、どんな不具合が出るか分からないから定期的に検査を受けたほうがいいと言ったので、沙穂はこうして検査を受けているのであった。
・・・・・・しかし、事情を知らない人が見れば、フヒヒヒと不気味に笑っているドクターと、上半身裸の少女が向かい合っているという、犯罪現場にしか見えないのだが・・・それは置いておいたほうがいいのだろう。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ