第一部
閑話
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付いたお茶の缶が置いてあった。
世界樹の葉で作ったお茶とか、魔術師が聞いたら卒倒物である・・・実際、ミス・エリクソンが倒れたようだし。しかも、このお茶は無料なのだ。余りにも豪華な客室を与えられて落ち着かなかった甘粕が、気分を落ち着かせる為に頼んだ物だった。ただ、メニューには『日本茶』としか書かれていなかったので、『世界樹の葉』なんて書かれた代物が出てきたときには、彼も気絶しそうになったが。
「これだけの物を、ほぼゼロ円で用意してしまうのですから、本当にカンピオーネというのは出鱈目な存在ですね。」
世界樹のお茶を一口飲む彼。
「・・・凄く美味しいですね。複雑な気分です。」
現在、世界中で鈴蘭しか作ることの出来ない伝説中の伝説『世界樹の葉』。それをお茶にして飲むことに否定的な気持ちではあるが、今までに飲んだ事のあるどの飲み物よりも美味しい事に苦笑する甘粕。オマケに、体中に力が漲り、生命力が湧き出してくるのが実感出来る。まさに、世界最高の飲み物と言っても過言ではない代物であった。
「・・・ここにずっと居るのも、悪くないかもしれないですねぇ・・・。」
カンピオーネ達と同じ船に乗る事に対する不安はあれど、何一つ不自由しない生活に、順応してきている甘粕であった。
☆☆☆
さて、場所は少し変わって、船にあるドクターの診療所兼研究所である。
出航してからまだそんなに日が経っていないというのに、何故かこの部屋は既にドス黒く染まってしまっていた。重症の患者が出たわけでもないのに、何故こんな事になっているのかは誰にも分からない。何故かこの船に忍び込んでいた他国の魔術結社などの諜報部員が次々と消えているらしいが。ただ、鈴蘭直々にこの区画は『立ち入り禁止区域』に指定されている上に、『客人に手は出さないこと』と厳命されているので、アリスたちには何ら危険はないだろうが・・・。
さて、今この部屋には二人の男女が存在していた。
一人はこの部屋の主であるドクター。
そしてもう一人は、【魔界】のカンピオーネの一人、白井沙穂である。
彼女は上半身裸になり、その肢体を惜しげもなく見せていた。彼女の年齢にしては些か発育が足りないように思われるが、その明るい笑顔と合わせて見れば、活発な美少女である。以前は体の至る部分に走っていた大小様々な傷跡も、ドクターに蘇生された時に消してもらっている。
勿論、彼女たちは怪しい行為をしている訳ではない。これはちゃんとした診察なのだ。
カンピオーネの体は、超人的な能力を得る。骨は鉄よりも固く頑丈になり、筋肉は千切れにくく柔軟になる。再生能力に至っては、過去の古傷すら完璧に修復するほどだ。・・・それなのに
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