第十六話 シークレット=ミッション
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第十六話 シークレット=ミッション
「そうか」
男は司令室で報告を聞いていた。
「刻印は問題ないのだな」
「はい」
報告をする男が彼の言葉に頷いた。
「これで我々もまた」
「うむ、ではすぐに出撃準備にかかれ」
そう指示を出す。
「わかったな」
「はい、それでは」
「そしてだ」
男は指示を出した後でまた部下に問うた。
「マーグはどうしているか」
「マーグ司令ですか」
「そうだ。軍の補充が終わったと聞いているが」
「既に地球圏に近付いているようです」
「ふん」
男はその報告を聞いて顔を顰めさせた。
「元はと言えば反逆者の息子が。方面軍司令になるなぞと」
「ギシン家の当主ですので」
「それがどうしたっ」
男の声が荒いものになった。
「それでも反逆者の息子だぞ、あの男は」
「はい、それは」
部下は怯えた声でそれに応えた。
「帝の思し召しですので」
「帝か」
何故かその言葉には畏敬といったものはなかった。
「わかった」
「はい、それでは」
「あの男に好きにさせるつもりはない」
男はあらためて言った。
「それはわかっていろ」
「無論です。そして」
「鍵だ」
男は不意に鍵という言葉を出してきた。
「それを手に入れるぞ」
「はっ、それでは」
「俺も行く」
男は告げた。
「そしてあの男も連れて行くぞ」
「あの方もですか」
「当然だ。やるからには最後までやる」
それが男の考えであった。
「それだけだ。いいな」
「了解しました。そして」
「まだ何かあるのか?」
男は部下に問うた。
「先遣隊ですが」
「全滅したのだな」
何を今更といった口調であった。
「わかっている」
「左様ですか」
「所詮無人機にグラドスの兵だ」
男は特に気も留めていなかった。
「気にすることはないぞ」
「それでは」
「うむ。今度は主力だ」
「主力ですか」
「そして最後は」
「最後は」
男の言葉に顔を向ける。男は満足そうに言った。
「俺だ」
「御意。それでは」
「マーグだけにやらせるわけにはいかん」
マーグへの敵愾心が見える。それは危険な程であった。8
「何があってもな」
「わかりました」
「バルマーの正規軍が来れば何も恐れることはない」
自身の軍に対して絶対の自信を持っていた。
「所詮マーグの軍なぞ烏合の衆だ」
「そういえば」
部下もその言葉でふと気付いた。
「マーグ司令はまだああして混成軍を率いておられるのでしたな」
「愚かな話だ」
マーグを愚かと言い捨てる。しかしそこには劣等感もこもっていた。
「あの男らしいか」
「副官のロゼ様もまた」
「所詮は植民地の女だ」
ロゼに対しても言い捨てた。
「それ以外の何者でもない
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