A's編
第二十八話 裏 (グレアム、クロノ、ユーノ)
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ギル・グレアムは自らの使い魔からの報告を聞いて悩んでいた。いつになく厳しい顔をしたグレアムの表情に報告した猫の使い魔であるリーゼアリアとリーゼロッテも心配そうな表情で見ている。
グレアムが悩むのも無理はない。数年かけて行ってきた計画の根本が崩れ去ろうとしているのだから、悩まないわけが、慌てないわけがないのだ。もっとも、彼が表面上だけでも慌てた様子に見えないのは、グレアムの数十年という時空管理局での経験が生きているのだろう。
「それで、守護騎士たちが姿を消したのは本当なのか?」
「ええ、確認したわ。もう全員が姿を見せなくなって三日よ………」
グレアムも最悪の事態を信じたくなかったのだろう。すがるように確認にいっていたアリアに確認を取るが、返ってきた答えは、無情にも肯定だった。おそらく、何度聞いても答えは一緒だろう。だから、グレアムは余計に頭を抱え込みたくなった。
数年前から秘密裏に行ってきていた計画―――最悪のロストロギアの一つと言われる闇の書の封印。それがグレアムが秘密裏に行ってきていた計画だ。
グレアムは時空管理局の中でも地位も名誉もある人間だ。ただ、年功序列の中を生きてきたわけではない。数々の誰もまねできない功績を積んで今の地位にいるのだ。しかし、グレアムが管理局内で英雄視されていることは、なにもいいことばかりではない。逆を言えば、目の敵にされやすいということであり、常に監視されているといってもいい。
そんなグレアムが、闇の書を封印するためとはいえ、違法性の高い計画を遂行するのは非常に骨の折れる作業だった。幸いだったのは、今の闇の書の主が、彼の知り合いの娘だったことだろう。だからこそ、独自の調査で早期に彼女を発見でき、対策を練り、長期の計画を立てることができたのだから。
だが、その計画も今では水泡に帰そうとしていた。
グレアムの計画は、いよいよ本格的に始動した、というときに躓いたのだ。
計画の通りならば、今頃は、闇の書の覚醒とともに現れる守護騎士たちが、闇の書のために魔力を集めているはずだった。本来であれば、もう少し早く始まる予定だったのだが、今回の主―――八神はやては、魔力を集めることをよしとしなかったため、蒐集の開始が遅れたのだ。
もっとも、八神はやてが回収を命じないからといって、グレアムは今ほど慌てなかった。
なぜなら、グレアムは知っていたからだ。はやての下半身の麻痺が、闇の書からの浸食であることを。ならば、主の幸せを考える守護騎士が闇の書の真の覚醒に向けて動かなはずはない。そう考えていた。そして、現実は、グレアムが考えた通りになっていた。あとは、彼らが時空管理局に見つからないように、見つかったとしても手助けをして、彼らに闇の書を完成してもらう
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