暁 〜小説投稿サイト〜
リリカルってなんですか?
A's編
第二十八話 裏 (グレアム、クロノ、ユーノ)
[9/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
たちと戯れていた。

 あはは、と笑いながら走り回る子どもたちを見守るユーノ。地球の価値観から言えば、ユーノも子どもなのだが、この場合、遊んでいる子供はユーノよりも小さい子どもなので、問題ないだろう。

 ユーノは、子どもたちを見守りながらはぁ、とため息を吐いた。

 彼が、子どもたちの面倒を見るようになって数か月がたっていた。本当なら、次の発掘現場へと向かっていてもおかしくないのだが、数か月前の事件がユーノの立場を変えてしまった。

 初めての現場責任者。そこで発掘したジュエルシードに関する事件。そして、責任感からそのジュエルシードを追って単身、第九十七管理外世界へと降り立ったユーノ。そこでは、一人の女性の執念によってジュエルシードが悪用されようとしていた。それを止めたのは、一人の少年と少女。ユーノなどおまけでしかなかった。

 そう思っていたのだが、ユーノも時空管理局から感謝状と謝礼金をもらっていた。ある種、当然のことである。ユーノがいかなければ、少年と少女が魔法に出会うことはなく、ジュエルシードは一人の女性に回収され、次元断層が起きていたことは想像に難くないからだ。

 だが、ユーノはそう思わなかったようで、謝礼金は、すべて一族のお金としてしまった。思えば、それが失敗だったのかもしれない。

 ジュエルシードを追って、単身第九十七管理外世界へと向かい、謝礼金をすべて一族に寄付してしまったユーノは、時空管理局から感謝状ももらったこともあって、一族の中での評価を大幅に上げていた。同年代では、彼の評価を覆すことが難しいほどに。下手をすれば、彼の年齢を倍にした人間すら適わないほどに。

 責任感と実力が伴った男は、たとえ少年といえでも評価される。それが、発掘という危険な場所で生きているスクライア一族の価値観だ。

 だが、軋轢が全くないわけではない。ユーノが未だに発掘のためのベースキャンプであるスクライアの里でこうして、子どもの面倒を見ているのがいい証拠だ。ユーノの処遇に関しては、もっと経験を積ませたいと考えている上層部とこれ以上、評価を上げたくない現場が争っているらしく、今は休暇という形でユーノはスクライアの里に身を置いていた。

 ちょっと前までは、ジュエルシード事件で本局に呼ばれることもあったのだが、裁判が不起訴で終わった今では、全くその様子を見せる気配はない。つまり、ユーノは簡単に言うと暇だった。

「ユーノ兄ちゃん、どうしたの?」

「ん? なんでもないよ」

 ユーノがため息をはいていたのを見ていたのだろう子どもの一人が心配そうにユーノを見上げながら尋ねてくる。しかし、彼らを心配させてはいけない、と思い、ユーノは、笑みを浮かべると子どもの頭をなでながら、言葉を口にした。子どもは、ユーノをよほど信頼
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ