A's編
第二十八話 裏 (グレアム、クロノ、ユーノ)
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割を高いとみるか、低いとみるかである。
「失敗した時の対策は?」
「封時結界内部で、前回と同様にアルカンシェルで消滅させるつもりだ」
「そうきたか」
失敗した時の対策も考えていないわけではない。対策として提案されたアルカンシェルが闇の書に効果があることは十一年前のあの時に証明されている。証人は、目の前で計画を提案しているグレアムのだからこれ以上の説得力はないだろう。
その後も様々な質問が飛ぶ。内容は、計画に対する穴探しである。そもそも、グレアムの提案は評議会には比較的好意的に受け止められている。
過激派からしてみれば、グレアムの提案は、自分たちの派閥の色が強い作戦である。中庸派にしてみれば、闇の書という史上最悪が止められ、失敗したとしても英雄のグレアムがすべてを背負ってくれるため反対する理由がない。一方、穏健派の提督たちは戸惑っていた。筆頭であるグレアムが、こんな計画を提出したのだから当然だ。
だが、納得できない一方で、資料を見れば、グレアムの苦労を伺うことは容易だった。その膨大な資料。過去にわたって闇の書事件を追ってきており、傾向と対策が記されている。おそらく、グレアムが関係した十一年前からコツコツと資料を集めていたことは間違いないだろう。そのグレアムをして提案された作戦なのだ。考えうる中で最善なのだろう、と彼らは考えたのだ。
現にいくつも出された質問にグレアムは淀みなく答えていく。グレアムがこの作戦のために入念に準備してきてことは明白だった。
「それでは、そろそろ採択を取りましょうか」
議長役の提督がいい加減に質問も減ってきたところで提案する。質問も尽きてきたころで、時間的もちょうどよかったのだろう。誰も反対することなく採決へと場を移す。
「それでは、本計画に賛成の方は挙手を」
ばばばっ、と挙がる右手。その数は15本。全会一致だった。
「賛成15、反対0で本計画は可決されました」
抑揚のない議長の声を受けてグレアムは賛成票を投じてくれた提督たちに頭を下げるのだった。
◇ ◇ ◇
「失礼しました」
頭を下げながらクロノ・ハラオウンが一室から出てきた。その顔には、苦悶の表情が浮かんでいる。
「どうだったの、クロノくん?」
クロノに近づいてきたのは、彼が乗船しているアースラのオペレータであるエイミィだった。今度、従事する作戦についてクロノがその発案者に尋ねたいことがある、と言って飛び出してきた彼についてきたのだ。もっとも、その結果は彼の表情を見るに芳しいものではなかったようだが。
現にクロノは、エイミィの心配そうな表情を見て、首を横にふった。
「ダメだったよ。提督は本気でこの計画を進めようと
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