A's編
第二十八話 裏 (グレアム、クロノ、ユーノ)
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最大人数15人であるのに対して、それぞれの派閥が5人ずつ占めるような割合になっている。評議会に選ばれる基準はわからない。すべては最高評議会が決めているのだから。しかし、このバランスを見るに彼らは、無能ではないらしい。評議会で決定するためには、ほかの派閥を最低二人は口説かなければならないのだから、譲歩も出てくるだろう。
閑話休題。
さて、そのことを考えるにグレアムの提出した計画は、グレアムが所属する穏健派の色がなく、むしろ、過激派の色が強いと言えるだろう。
「計画の概要は理解した。それよりも、どうして闇の書の主がわかっていたのに今まで報告しなかったっ!?」
「危険だったからですよ」
もっともなことを言う過激派の提督を前にグレアムは涼しい顔で返答する。
「闇の書は現在、最善の対策がない。その中で覚醒前の闇の書の主を見つけてしまった。過去の事例に照らし合わせても下手に扱えば、大惨事なのは明白だ。監視だけにとどめるにしても、この強大な力を利用しようとする輩が出てくるかもしれない。だから、今まで報告しなかったのだ」
そのグレアムの言葉に発言した提督は、ぐぅ、と悔しくうめいた。
グレアムの言葉が間違っていると反論できなかったからだ。なぜなら、過激派の中には前回の闇の書の被害者も大勢いる。むしろ、闇の書の被害者だからこそ、過激派ともいえる。そんな彼らが、幼い少女の主が見つかったと知ればどうするだろうか。中には復讐を、と願うものもいるだろう。いや、むしろ高いともいえる。前回の闇の書事件から十一年あまり。両親を殺されたという子どもが大きくなるには十分すぎる年月だ。
また、過激派は、グレアムにいくつかの違法ぎりぎりの研究所の所在を握られていることを知っている。それは、グレアム―――穏健派にとっては過激派への切り札なのだが、グレアムはこの場であれば、惜しみなくその切り札を使うだろう。それがわかっていたからこそ、提督は何も言えなかったのだ。
「それで、この計画の成功確率は?」
次に手を挙げて質問をしたのは、中庸派の人間だ。
彼らにとって過ぎ去った過去に興味はなかった。それが、相手を責められる材料であれば、いいのだが、今の説明を聞くにグレアムが煙に巻く用意をしていることは明白だ。ならば、時間の無駄は省くべきだと判断したのだろう。
「八割程度だとみている。しかし、これはわからない。現在開発中のデュランダルの出力がどれだけ出るかによるだろう」
「……八割か」
微妙なラインだ。百パーセントを言うのであれば問題なかった。それで封じられれば、時空管理局としては闇の書を封印した、闇の書の脅威から次元世界を救ったと広告できるからだ。だが、八割を高いとみるか低いとみるかである。いや、失敗する二
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