A's編
第二十八話 裏 (グレアム、クロノ、ユーノ)
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の代わりにグレアムたちが動くことである。闇の書の魔力蒐集は、守護騎士以外でも行うことが可能である。姿を変えれば、魔力を集めることができるだろう。そもそも、守護騎士たちが魔力の収集を開始したならば、グレアムたちは陰ながら支えるつもりだったのだから、それが動く主体となっただけだ。しかし、この方法も却下である。グレアムは、英雄と呼ばれる彼は、常に監視されているといってもいい。自らが筆頭である穏健派の中にも、スパイと思われる人物が存在するのだ。前線を退いているからといって、監視の目が緩んでいるわけではない。さらに、まずいのは、グレアムが単純に違法行為に手を染めているというだけの話ではなく、闇の書という存在を秘密裏に知られてしまうというのが問題なのだ。グレアムを糾弾するだけならば、まだいい。しかし、グレアムと同様に秘密裏に動かれては、いったいどこで齟齬が発生するかわからない不確定要素を呼び込むことになってしまう。それは、計画を立てるという意味では非常にまずかった。
ならば、残る手段は、あと一つである。だが、これで本当にいいのだろうか、とグレアムは悩んだ。三つ目の手段におけるチップは、グレアムという存在のすべてといっても過言ではないだろう。
だが、少し考えた後でグレアムは苦笑した。
すでにこの身は引き返せないところまで来ている。三つを考え付いたというが、それは事実ではない。なぜなら、グレアムにはすでにとれる手段は一つしかないからだ。しかし、グレアムは、消去法が嫌いだった。これでは、今から自分がことを起こそうとしていることが、いくつも考え付いたが、これ以上に最良の手がなかったということを免罪符にしているようでしかない。
否、それは否である。
たとえ、闇の書が次元世界に災厄をもたらす存在だったとしても、それを止めるための手立てがこれしかなかったとしても、それを免罪符にしてはいけない。他人事のように彼女の冥福を祈るだけではいけない。すべてを背負わなければならない。事実を知った時に『彼女』がグレアムに吐く怨嗟の声も、一変するであろう周りの評価も、侮蔑の声も、すべてグレアムが背負うべきものだ。
だから、この方法をとるのは消去法ではない。選ばなければいけないのではない。グレアムが自らの意志で選ぶのだ。
―――そう、選ぶまでもない。あの時、彼女が闇の書の主だと分かった時から覚悟をしていたはずだ。ギル・グレアム。
信じられない、信じたくない。そして、自らが考え付いた悪魔のささやきに乗った時からずっとグレアムの胸の内にある誓いを再び思い出したグレアムは、考えるために瞑っていた目を開いて、リーゼアリアとリーゼロッテを交互に見る。それは、自らの分身ともいえる使い魔に覚悟を問うているようである。
そんな主の視線に使い魔の二
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