A's編
第二十八話 裏 (グレアム、クロノ、ユーノ)
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クロノがつぶやいた場所にユーノがうなずく。
確かにあの場所であれば、闇の書に関する資料―――ユーノが言うような資料が見つかる可能性があるだろう。問題があるとすれば、『無限』の名前を関することが伊達ではないということだろうか。
「許可は出せると思う。だが、あの場所は広大だぞ……大丈夫か?」
『ええ、おそらくは。スクライア独自の検索魔法と読書魔法もありますからね』
「……わかった。それじゃ、僕の執務官としての権限で、君を捜査協力者として雇うとしよう。期間は一か月程度だけど……構わないかい?」
『ええ、長老たちに相談してみますが、大丈夫だと思います。むしろ、歓迎されるかも……』
最後のつぶやきの意味は分からなかったが、クロノからしてみれば、ユーノの提案はありがたいものだった。
「ありがとう。協力に感謝する。それじゃ、契約書の類は今日中に送るから。それを持って、こっちに来てくれ、宿泊場所や無限書庫の利用許可は、僕が申請しておくから」
『わかりました。それじゃ、荷物をまとめてすぐに行きますよ』
それでは、といって通信が切れる。最後に映ったユーノの表情はなぜか晴れ晴れとしていた。あちらでも何かあったのだろうか。だが、クロノとしては詮索するつもりはない。藪蛇では、せっかく見つけた光明を自らの手で閉じてしまうかもしれないからだ。だから、ユーノが来てくれることを今は、喜ぶべきだった。
たった一つだけ見つけた小さな光明。今は、まだその光明が正しいのかどうかわからない。しかし、先ほどまでの暗闇の中にいるよりもましだった。
「願わくば、その小さな光明が、出口へと続いてくれればいいのだが……」
クロノの願うようなつぶやきは、通信室の部屋の中で小さくこだまするのだった。
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