A's編
第二十八話 裏 (グレアム、クロノ、ユーノ)
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る通信ができる部屋へと足を運ぶのだった。
◇ ◇ ◇
「どうだ? ユーノ」
『これは……面白いですね』
クロノは、通信室で遠く離れたロストロギアの専門家―――過去のジュエルシード事件で出会ったハニーブロンドの少年に、先ほど受け取った資料を見せていた。もちろん、部外秘なので、ある種の契約を結んでからだが。
「どういうことだ?」
見せた資料は、闇の書に関する捜査資料。クロノが別視点から見た作戦の穴を探そうとユーノに相談したのだ。だが、ユーノは少し資料を見ただけで、クロノが期待したような反応を返した。
『いえ、確かにこれは、『闇の書』に関しては、よく調べていると思います。でも、それだけです。おそらく、『闇の書』は、前身があります』
「……続けてくれ」
『はい、闇の書の剣十字。そして、守護騎士たちから見られた過去の魔法陣から考えるに、闇の書はベルカ由来のロストロギアの可能性が高いと思います』
「それは、こちらも了承している。だから、聖王教会にも問い合わせたが、そのようなロストロギアは知らないそうだ」
そうでしょうね、とユーノは苦笑する。その苦笑の意味をクロノは理解していた。なぜなら、史上最悪と呼ばれるロストロギアをベルカ由来とは、認めたくなかったのだろう。そう考えて、資料を見せてもらったのだが、確かに闇の書という名前のロストロギアはなかった。
『その結果は別に不思議ではありません。闇の書は、不思議なところが多すぎる。そもそもの目的が何なのか定かではありません。ロストロギアがいくら不明な技術と言えども、目的はあるんです。だけど、闇の書は、破壊兵器として考えるには中途半端すぎます。だから、僕は、これは当初は別の目的で作られ、長い年月の間に今の闇の書になったのだと思います』
その存在によって名前が変わることは考古学的に言えば、珍しい話ではありませんし、とユーノは付け加える。
ユーノの意見は、確かにクロノが思いつかない考えだ。クロノにとって闇の書は闇の書であり、前身があるとは考えることがなかった。もしかしたら、小さな光明が見つかったかもしれない、とクロノは思った。
「……わかった。ユーノ、闇の書について、そちらで調べられるか?」
『確かにスクライアにも資料はありますが、多分、クロノさんが考えるような資料はないと思います。ここでまとめられているだけでも、闇の書が認識されたのは相当昔です。なら、闇の書について資料があるとすれば、僕はその場所を一つしか知りません』
さすが、スクライア一族というべきだろうか、あの場所を知っているのだから。あらゆる知がそろう場所でありながら、時空管理局の中でもその存在を忘れられた場所。
「無限書庫か……」
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