A's編
第二十八話
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のだろうか?
「えっと、いらっしゃい。クロノさんはまだ来てないから、僕の部屋で待とうか」
そう言って、僕はなのはちゃんを部屋へと案内する。実はなのはちゃんと顔を合わせるのは二週間ぶりだから、何を話していいのか、いまいち感触がつかめない。久しぶりに出会った人間とは、そんなものだろうか。そもそも、なのはちゃんと一緒にいるときは僕が話して、なのはちゃんが答えるというパターンが多かったような気がする。だからこそ、余計に何を話していいのか困る。
お互いが無言のままだったが、部屋についてコーヒーを持ってきて、一息ついたころには、その雰囲気にも慣れてきた。いや、だんだんと思い出してきたというべきだろうか。なのはちゃんが来てから、三十分も僕は昔のことを思い出し、前のような空気に戻っていた。
クロノさんが訪ねてきたのは、ちょうどそのくらいの時間だった。
「急に訪ねて申し訳ない」
「いえ、構いませんよ」
僕となのはちゃんの前に座ってぺこりと頭を下げるクロノさんに僕は、そう答えた。
「それじゃ、本題に移らせてもらおうか。いや、その前に君からの相談事を聞いたほうがいいかな。僕のほうが話が長くなりそうだから」
「わかりました。僕の友人の家に魔法に関する本があったんです。僕はあまり魔法に関する知識はありませんが、間違いなくその本から魔力が発せられていました。黒い逆十字がプリントされた本なんですけど……クロノさんは何かご存じありませんか?」
僕がそうやって相談すると、クロノさんは、ひどく困惑したような表情をした。それに追加されたのは、驚きだろうか。目を見開いて驚くのだからよっぽどのことなのだろう。
僕の問いには答えず、クロノさんは、まるで気持ちを落ち着かせるように僕が用意したコーヒーを口にする。
「……まさか、こんな展開になるとは、思わなかったよ。君の友人の名前は、『八神はやて』と言わないかい?」
今度は、僕が驚く番だった。クロノさんの口から出てきたのは、はやてちゃんの名前。それをどうして、魔法世界にいるはずのクロノさんが知っているのだろうか。可能性としてありえるのは、本当にはやてちゃんが魔法世界と関係があったということだけである。
「どうやら、僕と翔太くんたちの話は、意外なところでつながっていたようだね」
クロノさんは、気持ちを落ち着かせるようにふぅ、と一度大きく息を吐くとゆっくりと僕たちを見据えるように前を向くと口を開いた。
「君の問いの答えだが、ああ、知っているさ。その本の名前は『闇の書』。持ち主に絶対的な力を与え、完成した暁には、周囲をことごとく破壊尽くす極めて危険性の高いロストロギアであり―――」
クロノさんの言葉に僕は驚いた。まさか、あの本がそんなに危険なも
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