A's編
第二十八話
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ょうどいいという意味が分からず、聞き返す。クロノさんも僕が言いたいことを理解していたのだろう。自分が説明していないことに気づき、苦笑しながら、理由を説明してくれた。
『僕も君たちに相談事があるということだよ。今、僕たちはそっちに向かっているんだ。一時間後ぐらいに着くけど、そちらにお邪魔しても構わないかい?』
クロノさんの理由は僕からしても驚くべきものだった。理由が見つからないからだ。この世界は、魔法がない世界だ。それなのに、時空管理局―――魔法を管理する組織の人が僕たちに用事があるとは考えにくいからだ。考えられるとすれば、僕というよりも、むしろ、なのはちゃんだろう。クロノさんが、『君たち』といったのは、おそらく、僕となのはちゃんをセットにしているからだろうし。
最近は、なのはちゃんと会っていないが、そろそろ、なんとかしないと、とは思っていたからクロノさんの訪問は渡りに船かもしれなかった。
「わかりました。一時間後ですね。なのはちゃんも呼びますか?」
『ああ、お願いするよ。ちゃんとお土産も持って行っているから、期待していてくれ』
その言葉はクロノさんなりのジョークだったのだろう。くくく、と笑っているのが電話越しでもわかった。気を使わなくてもいいのに、とは思うが、それもクロノさんの心遣いなのだろう。僕は、楽しみにしています、とだけ答えて電話を切った。
そのまま、電話を折りたたむことなく、幾人もの名前があるアドレス帳の中から、一つの名前を探し出す。
―――高町なのは。
なのはちゃんの番号を探し出して、僕は通話のボタンを押す。トゥルルル、トゥルルルという呼び出し音が鳴る。鳴り続ける。ちょっと前なら、3コール目には出てくれたはずなのだが、最近はあまり出てくれない。最初のほうは、切っていたのだが、根気強く待っていれば、そのうち出てくれるのだ。
それは、今日も例外ではなかった。もう数えるのも億劫なほどにコールがなった後に突然、コール音がなくなり、向こうの電話が出たような音がした。
『……はい』
それから遅れること数秒、恐る恐るという感じでなのはちゃんが電話口に出る。何かを恐れているような声色だが、僕には何に怯えているのか全く分からない。だから、僕は、なのはちゃんの声に気付かないようにふるまうしかなかった。
「翔太だけど、ちょっといいかな?」
なのはちゃんの不安をこれ以上、刺激しないようにできるだけ穏やかな声で僕は、なのはちゃんに話しかける。その効力がどの程度あるのか、僕にはわからない。前のように話してくれることを祈るだけである。
『……うん』
僕の声の効力などあまりなかったのか、なのはちゃんの返答はやはりワンテンポ遅れたものとなっていた。
「今から、僕
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