GGO編
百八話 刃の影
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苦笑しながら、リョウは二人に言う。
「御二人さん、んな自分の事責めなさんな」
「え……」
「…………」
リョウの言葉に、キリトが続けた。
「そう、だな……シノンの事に関しては、俺も彼奴が居た事に気が付けなかった訳だし……前衛後衛が逆だったら、きっと俺が麻痺弾喰らってたよ」
「で、また俺はお前のフォローに入ってたわけだ」
「またって何だよ?俺そんなに何度も兄貴にフォローしてもらってないぞ」
「そうかぁ……?ま、それは良いとしてよ、アイリも。何が有ったか知らねぇけど、次からあんな風にならないならそれでいいからよ」
「…………」
リョウの言葉に、アイリはゆっくりと俯く。その様子にリョウは再び溜息を吐きかけて。
「……それは、本気で言ってるのかな……?」
「あ……?」
アイリが、その言葉を遮った。普段と違う、少し低めの声に、キリトが反応し、シノンは膝の下から目だけで此方を見る
「“何が有ったか知らないけど”って……本当に、そう思ってる……?」
「…………」
「……兄貴?」
「…………」
それは、一般的に見れば妙な問いだった。実際、アイリ自身何故今のタイミングでこんなことを聞いたのかは分からなかったし、キリトやシノンに至っては突然の問いにアイリが何を言いたいのかが分からなかった。あくまで、二人の間に自分達が知らない間に何かが有ったのだろうと思っただけだ。そしてリョウは……
「…………」
無言で、そして無表情で、アイリの瞳を正面から見つめていた。その瞳にはいくつもの感情が有ったが、それらすべてが混ざり合っていて、一貫していなかった。
やがて、アイリが少し自分でも困ったように苦笑しながら言った。
「あはは……ごめん。変な事聞いたよね。忘れて!うん!」
そう言って、視線を逸らす。その顔には、張り付いたような小さな笑顔。そしてここまで来て……ようやく、リョウが口を開く。
「……やっぱ、気に食わねぇか?」
「っ!?」
それは、とても低い声で、聞いた瞬間、いつかの記憶がよみがえり、その声にキリトの背筋が冷える。
「え……?」
アイリが問いながら、リョウの方を向いた。リョウは座って胡坐を掻きながらも右膝を立てて、その上に右腕を乗せるようにした体勢でアイリを見ている。赤く、短い髪の向こうで、見覚えのある、ニヤリとした笑みが現れた。
「っ……!」
「あれ……聞こえなかったか?じゃ、もう一回」
何も言えず、唯その眼を見開いて、瞳を大きな感情で揺らすアイリに、リョウは再度問うた。
「……そんなに気に食わねぇか……?“親友の仇”が、正義の味方の真似ごとしてんのは」
「…………!!」
ただ、その一言で、キリトとアイリの表情が凍りつく。何も分からぬシノンだけが、ただその場のあまりに重たい空
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