暁 〜小説投稿サイト〜
インフィニット・ストラトス〜黒き守護者〜
過去話〜戦うチルドレン
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レード》を展開し、緋色のクリスタルを装着した。

「燃えろ」

 刀を一薙ぎすると、そこから炎を纏った刃が一直線に結華に向かって進む。
 彼女はほんのギリギリでそれを避けるが、俺はそこまで甘くなかった。
 まだ滞空している間、俺は別のクリスタルの力を開放した。それは緋色のクリスタルが炎なら、その草原を思わせる黄緑は風。そういう力を宿したクリスタルを俺は『エレメント・コア』と呼んでいた。
 その力を使って着地と同時に地面を蹴ってISに匹敵するほどのスピードで結華の首に刃を寸止めする。

「………勝負、あったな」
「……ええ、そうね」

 この後、俺の勝利が確定し、観客―――特に子どもが驚いていた。

「………まさか、最初は手加減を?」
「……まぁ、ちょっとはな。以前は守りたい人がいたけど今はいないから」

 そう言って俺は結華に手を差し伸べた。

「ありがとう」
「気にするな。後、俺は寝るために自室に戻る」

 結華を立たせた後、俺はその場から去って自分の部屋に戻った。

(久々に力を開放したから……疲労が多い……)

 施錠したことを確認し、ベッドに潜って眠った。





 ■■■





 どれくらいの時間が経ったのだろう。
 そんなことが頭によぎり目を覚ましてみると、そこには先ほど戦った結華が俺を見ていた。鍵は閉めていたはずなんだが……?

「……何でここに?」
「……いえ、先ほどの無礼を詫びに来たのです」

 どうして敬語? そして無礼?
 そこまで考えてある結論にたどり着いた。

「……もしかして、俺がここでビデオ鑑賞をしていた時の?」
「ええ。それ以外にはないかと」
「だったら別にいいって。俺が勝ったのはただのマグレだから。……それで、何で敬語?」
「それは私があなたに負けたからです。目上に敬意を払うのは当然のことです」
「気持ち悪いので敬語は却下。それが嫌なら命令な」

 本当はそうでもないのだが、見た目は同年代だからということでタメ口をさせる。

「じゃあ、兄さん」
「………」

 おそらく、今の俺は顔が引きつっているだろう。
 俺は一時期「にーにー」やら「お兄ちゃん」など呼ばれていて、何故か急に身震いしたり鼻血が出たりと何故かその言葉を体が受け付けなかった。

(………あれ? 珍しくそれがない)

 どうやらそれがないらしい。

「……駄目だった?」
「いや、いいよ、それで」

 俺が許可を出すと結華は満面の笑みを見せて喜んだ。

(何故それで喜ぶ?)

 そんな疑問を持ちながら、俺はこれからどうしようか考えるのだった。
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