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蒼き夢の果てに
第4章 聖痕
第43話 異界化現象
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初の夜に起きた事件の異界化の核はレンのクモでしたし、ラ・ロシェールでの事件の際は、フレースヴェルグでした。

「今朝。夜が明ける前に広がったこの空間により、学院すべてが呑み込まれるにはそう時間はかから無かった。
 今は、五芒星の頂点に立つ講師の魔力を束ねて、この魔界がこれ以上広がらぬようにして居るが、現状ではこれで手一杯じゃ」

 オスマン学院長はそう状況の説明を行う。
 つまり学院長以下、異界化に巻き込まれなかった教師たちは、半日以上、この異界化が広がる事を防ぐ為に、こうやって結界を維持し続けて来た、と言う訳ですか。
 おそらく、学院長以外は交代を行いながら……。

「一応、王都の方に連絡を入れて有るから、明日の朝の早い時間には、アカデミーの方から調査の為に人間がやって来る手筈と成って居る。
 それに、王城内の資料を調べて居るはずじゃから、何。そんなに心配する必要などなかろう」

 かなり御気楽な雰囲気で、そう言葉を締め括った学院長。

 確かに、魔法学院内の資料や文献を調べる事が出来ない以上、同じ程度の資料や文献を持っている王城やアカデミーで無ければ、前例を調べる事は不可能ですか。
 まして、ただ闇雲に内部に侵入をしたとしても、事態を終息させる事が出来るとは限りません。

 いや、返って事態を悪化させる危険性も有りますか。

 そんな事を考えていた俺を一瞥した後、

「ふむ。どうやら、内部への侵入を試みる心算は無さそうじゃな」

 ……と、そう口にするオスマン学院長。
 確かに、内部に侵入して、もう一度、脱出出来る類の異界化現象ならば、侵入して、中から事態を終息させる方が早い可能性も有りますが……。

 俺は、少しタバサの姿を瞳に映す。そうして、小さく首を横に振った。
 ……彼女の身の安全を考えるなら、そんな危険なマネを為せる訳はない。

「入れ、と言われたのなら入っても良いですが、私は、この世界の歴史や出来事の知識が不足して居ますから、事態の悪化を招く恐れが有ります。
 まして、学院長や先生方の代わりを務めるにも、どのような魔法を為せば良いのか判りませんから」

 自らの役割と能力から考えて、最善と思われる答えを返す俺。

 そう。俺の魔法は、この世界では異質で有り、俺と同じ術が行使可能なのはタバサのみ。確かに発動した結果が、それぞれの精霊に対応した攻撃系の魔法ならば、同じような仙術は行使可能でしょう。しかし、今、学院長が行っているのは、複数の魔法使いの魔力を練り上げて巨大な結界を作り上げている魔法。
 そこに、思想の上からも異質な俺の仙術を割り込ませる事は流石に出来ません。

 もし、彼らの代わりを俺が行うのならば、全ての人間を、俺と同じ仙術が行使可能な存在に交代しなければなら
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