第4章 聖痕
第43話 異界化現象
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支配する前の微妙な時間帯の明かりで、その精緻な人形を思わせる横顔に少し昏い影を作りながら。
もしかして、モンモランシーと俺が仲良く会話を交わしていた様子に対して嫉妬でもしたのか?
……などと非常にクダラナイ事を考えたのですが、彼女の視線を追った俺の視界に、杖を構え、呪文を唱えているかのような風情のオスマン学院長が居るのを見つけた事で、俺の不謹慎な考えが間違いで有る可能性が高まる。
つまり、タバサは俺から視線を外した訳では無く、オスマン学院長の方に視線を移しただけだったと言う事ですか。
ならば……。
「学院長の傍に着陸するけど、良いな」
明確な目標が出来た事により、次の行動指針を決めた俺の問い掛け。そして、普段通りの雰囲気、及び表情で首肯くタバサ。
くだらない妄想に包まれた能天気な使い魔のほんの少しの落胆と、普段通りのメガネ越しの温かみに少し欠けた視線とを乗せて、翼ある竜は、元々、トリステイン魔法学院の寮塔の有った方角。すなわち、東の方向へと降下を開始した。
☆★☆★☆
矢張り、世界自体が変化している。
学院長の傍に着陸しただけで判る世界が放っている歪みを感じながら、翼ある竜から先に飛び降り、タバサと、モンモランシーが降りる手伝いを行う。
もっとも、二人とも本当にそんな手助けが必要な訳は有りません。これも、一種のエスコート術のような物ですから。
俺達が傍に着陸した事に気付いても、オスマン学院長は杖を構えた状態のままで、その場から動く事はなかった。
いや、おそらく彼は動けないのでしょう。
そう思いながらハルファスを起動させる。そして、
【この空間に溢れている呪が、タバサや、モンモランシーに影響を与える可能性は有るか?】
……と問い掛けた。
おそらく、学院長は、この呪力が広がるのを防いでいると思います。ここは寮塔の有る方角。そして、それ以外の塔には、地水火風の名前が付けられている。
そして、異界化に巻き込まれていない人物……おそらくは教師たちが、それぞれの塔の方向に配置され、そこから自らを結界の要石と為し、この異界化現象が広がる事を防ぐ結界を構築していると思います。
しかし、それでも尚、世界に影響を与えるほど……。この謎の闇色のドームに近付く事に因って、俺でさえ軽い眩暈や、頭痛に近い影響を受けている以上、タバサやモンモランシーに影響が出ないとは限りませんから。
【あまり、あの異界化した空間に近付き過ぎない方が良いな。この呪力は、世界を改変するだけの呪いを持っている】
普段と変わらない雰囲気のハルファスの言葉……なのですが、内容は剣呑な事、この上ない内容を返される。まして、結界術のエキスパートのハルファスがそ
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