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SAO−銀ノ月−
第三十七話
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ったギルド《COLORS》の姉が砕け散っていった。

 死んだ跡には何も残らず、ただただ虚空となった場所を眺めていた俺に、近づいてきたアリシャから震える手で光る結晶を手渡された。

「《転移結晶》よ……アイツが来る前に、逃げよう。リディアの遺言、護らなくっちゃ」

「……そうだな。場所は《ラーベルク》で良いか?」

 本音を言えば、クラウドにヘルマン、リディアたち三人の仇を取ってから……つまり、Pohを倒してから帰りたかったものの、アリシャを死なせるわけにはいかないし、そもそも今の状況では俺もただの犬死にだろう……そう判断した俺の確認の言葉にアリシャはコクリと頷き、自らも用意した結晶を手に持った。

「急ぎましょ、速くしないとアイツが来る!」

「ああ……転移! 《ラーベルク》!」

 確かに急がなければならない時ではあるが、いつになく急いでいるアリシャに急かされ、慌てて《転移結晶》を起動させ、身体中が転移のライトエフェクトに包まれていった。

 周囲も俺の身体と共に明るく照らされ、月明かりぐらいしかなかった為に今まで暗かった場所が少し、そのライトエフェクトで照らされ……そして、気づいた。

 アリシャがその手に握っている結晶の色は、濃い緑色をしており、俺が使った青色の《転移結晶》とは違っていたことに。
それもその筈であり、緑色の結晶はいわゆる《解毒結晶》……麻痺毒などを治すために使われる結晶であり、そもそも《転移結晶》とは全く違ったものなのだから。

 そして俺は――アリシャの意図を悟ってしまった。
自らを犠牲にし、残り一つしかない《転移結晶》を俺に使わせて俺を脱出させる……そういう意図を。

「えへへ……」

 アリシャはもう一度太陽のようにニコリと笑うと、どこかに走りだしていった。

「アリ――」

 その後ろ姿に声をかける間もなく、無慈悲にも一度発動した転移結晶の発動は止まらず、俺の視界を全て光が包んでいった。



「――ッ!」

 もう夜も深かったために、人通りも全くなく寂れた商店街のような様相を呈していた街角……第十九層《ラーベルク》の主街区に転移することに成功したが、こんなところでモタモタしている場合ではない、速くアリシャのところへ戻らなくては――!

 そんな時に俺の視界の端に、馬小屋のような建築物が目に留まる。
そこはNPCが経営する厩舎であり、騎乗用の馬や運搬用の牛などを借りることが出来る場所だった。

 ただし、乗りこなすには実際の馬に乗る時のようにテクニックを要求されるらしく……実際乗ってみていたクラウドが振り落とされているのをこの目で見ており……しかも、料金がかなり高いというあまりプレイヤーには人気がない代物だ。

「良し……!」

 しかし
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