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SAO−銀ノ月−
第三十七話
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COLORS》に入る前は第一層の人里離れた場所にいて、入った後はアリシャの指揮のもとパーティープレイしかしていなかったため、そもそも一対一の対人戦に慣れていないというのもあるが、今、目の前にいるPohというプレイヤーは、第一層で自分を助けてくれたキリトのような凄腕のプレイヤーであり……間違いなく、今まで戦った敵の中で一番の強敵だった。

 今のまま自分一人、正攻法で戦っていては遅からず負けることになるだろう、と自ずと直感が告げているが、だからといって、クラウドにヘルマンの仇を目の前にしてただでやられるわけにはいかない……いくら凄腕であろうとも、こちらにはまだ隠し玉が存在している……!

 すなわち、このゲームのプレイヤーの挙動には本来は存在しないであろう、俺のシステム外スキル……《縮地》。
初動からトップスピードで移動し、相手の死角に潜り込むことで、相手からは『消えた』と誤認させることも可能な高速移動術であり、初見で反応される確率は0パーセントに近い……筈なのだが、どうしてだか自分にも解らないが、言いようにない悪寒が襲っていて、俺に《縮地》の使用を少し躊躇わせていた。

「来ないんならコッチから行くぜ?」

 Pohも俺が何かしようとしていることを察したのだろう、モンスターなど比にならないほどの速さで、俺の胴体部分に接近し、日本刀《旋風》が苦手な零距離での乱舞を展開してきた。

「このッ!」

 負けじと日本刀《旋風》を振りかぶった俺ではあったが、自分たちが使っている武器の零距離での相性上、徐々にPohの方に圧され始めてしまい、もはや俺のHPゲージがオレンジの域にまで達しているほどであった。

 ――もはや四の五の行っている場合では全くない。

 システムのアシストがあったとしても、人が行っている以上は乱撃と乱撃との間には、寸暇と呼ばれるような一瞬の隙が、必ずどこかに存在するものであり、Pohのその隙を突き、なんとか一呼吸置ける距離までバックステップをとる。

「……《縮地》!」

 一呼吸置ける距離と言っても、いったん離れて休憩するためとかそういうことでは全くなく、《縮地》による移動の為である。
未だに連続では二回しか不可な為に、これでこの戦闘中の《縮地》の使用回数は半分となってしまったわけだが、この一回でPohのHPゲージを全損させる……とまではいかなくとも、奴の包丁、もしくは包丁を持った腕を使用不能に出来ればお釣りが来る。

「vanish……!?」

 英語で呟かれたためにPohが何を言っているかは解らないが、俺が目の前でいきなり消えた(ように見えた)せいで、混乱しているというのは解る。

「もらったあッ!」

 俺が《縮地》によって移動した地点は、Pohが右手に持っている包丁を破壊するため
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